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2年ぶりに開催された女子のインターハイは、桜花学園高校(愛知県)の優勝で幕を閉じた。最終スコア94−65。大阪薫英女学院高校(大阪府)は実に10年ぶりとなる決勝の舞台に踏み入れたが、悲願の優勝とはならなかった。
大阪薫英は昨年のウインターカップでも桜花学園に敗れ、3回戦で姿を消している。その敗戦後、新チームのキャプテンに任命されたのは当時1年生の都野七海(2年)だった。
都野は158センチながら抜群のスピードとシュート力を武器に昨年から先発を担うポイントガード。自身初のインターハイ初戦では30得点、決勝でも21得点を挙げて平均23.4得点をマークし、「本当に勝負強いなと。苦しくて相手に流れがいきそうなところを何度も彼女が救ってくれました」と安藤香織コーチも手放しで褒めた。
入学当時から得点力は備わっていたものの、決してチームをまとめる力があったわけではない。「入学してきた時は全然声が出ない子だった」と話す安藤コーチは、都野を主将に据えた経緯をこう明かす。
「新チームが始まった時に、今の3年生がキャプテンをできるかどうか不安だったんです。都野は1年生でもプレーのセンスがありましたし、日本一になりたいという気持ちも強く持っていました。同じ学年に熊谷(のどか)という子がいるんですけど、その子はすごく頭が良くて周りが見える。なので、3年生に苦手なリーダーシップを取らせるよりも、しっかりプレーでチームを支えてほしいと要求して、リーダーシップがある都野と熊谷をリーダーにしてチームづくりをした方が全国で戦えるんじゃないかなと思ってそうしました」
大役を任された都野も「最初は不安だった」というが、「2年生でキャプテンをやらせてもらっている分、3年生の想いも背負っているわけなので、しっかり責任を持ってやろうと思いました」と新たな意識が芽生えた。
しかし、日本一を目指す強豪校の主将は一朝一夕にできることではない。安藤コーチは、都野がキャプテンに就任からの日々をこう回顧する。「最初は本当に喋れなかったですね。プレーではセンスがあるので思いつきや直感でやれる子なんですけど、キャプテンになってからも何でも直感でやってしまっていて。それじゃチームメイトは困るじゃないですか。そこはやっぱり苦労してきた部分です。キャプテンとしてしっかり先を読んで準備をしたり、みんなのことを考えて行動したりといけないってことを、あの子自身も学んでいると思います」。
指揮官の言葉に対し、「自分はみんなに声をかけるのがあまり得意ではなかった」と都野も認める。また、地元の山口県から上阪したこともあり、入学当初はいわゆる“大阪のノリ”に驚かされたと笑って話す。「山口にいた頃は(日常で)ウケを狙うなんてほとんどないんです。大阪に来た時、いきなり『なんでやねん!』とか言われたら、『えっ!?』なりました。今は慣れましたけど……」。
それでも、日々成長を重ねる背番号4の姿を見て、「最初に来た時よりも雰囲気が違う」と安藤コーチ。「流れが悪くなった時に自分が慌ててしまうとチームも慌ててしまうと思うので、そういう時こそみんなに声をかけようと意識しています」と本人が言うように、都野はコート上でも仲間への気遣いを忘れない。
女王の壁は高かった。けれども大阪薫英は、史上初の快挙を成し遂げた女子日本代表のように、小さいながらもスピードとシュート力、そしてチーム力でここまで勝ち上がった。
その中心を担った2年生キャプテンの次なる目標は、チームに金メダルをもたらすことだ。