2021.08.14

インターハイ2021女子決勝の見どころ「高さの桜花学園か、スピードの大阪薫英女学院か」

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 8月14日、「令和3年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」の女子準決勝が行われ、大阪薫英女学院(大阪府)と桜花学園高校(愛知県)が決勝進出を決めた。

都野、宮城ら走力のある布陣で挑む大阪薫英女学院

 大阪薫英女学院は準決勝で岐阜女子高校(岐阜県)と対戦。出だしに宮城楽子(3年)、都野七海(2年)、島袋椛(1年)らが立て続けに得点を挙げて開始約4分の間で10-1とスタートダッシュに成功する。

 しかし、その後は堅いディフェンスが機能した岐阜女子の前にオフェンスが停滞。第3クォーターには岐阜女子の藤澤夢叶(3年)、アググア チカ・チュクウ(3年)らに得点を許すと、自分たちの攻めでも「足が止まっていた」(安藤香織コーチ)と得点が伸びない。第4クォーターでも一時は8点差を付けられたが、ここから熊谷のどか(2年)のバスケットカウントなどで追い上げる。残り1分を切ってから2点差とすると、残り50秒には、宮城の値千金の3ポイントシュートを沈めて逆転。その後の岐阜女子の攻撃も防ぎ、最後は57-56で勝利した。

「シュートは(思うように)入らなかったけれど、いつもどおりに打っているのだから、打っていこうと言い続けました。そうしたら最後、よく決めてくれてましたね」とは劇的勝利を収めた大阪薫英の安藤香織コーチ。

 この試合、キャプテンでガードの都野と決勝シュートを沈めた宮城は持ち味のドライブから得点を重ねて2人とも18得点をマーク。それに続き、島袋が11得点、熊谷は8得点を挙げた。また、センター佐藤双羽(3年)の13リバウンドも勝利に大きく貢献した。

 この佐藤が175センチと主力の中では一番大きいため、チームは全国の中でも決して大きいチームではない。むしろ、高さのハンディは付いて回るが、ここまで勝ち上がった要因の一つに安藤コーチは、東京オリンピックで銀メダルを獲得した女子日本代表の存在を挙げる。

「小さい日本が頑張っていた姿を見て、私たちも小さいチームだから、しっかり走ろう、ディフェンスをやろうという意識が高まったと思います。うちも、うまくいったときは、きれいに流れるバスケットなので、それを徹底すればノーマークになる。あとはそれを決め切るかどうかですね」

 10年ぶりとなる決勝進出を決めた大阪薫英。安藤コーチは、「走ること。ディフェンスでのプレッシャーもそうですが、オフェンスでは足を止めないこと」を決勝のポイントに挙げる。相手はここ数年、幾度となく煮え湯を飲まされている桜花学園。決勝に進んだ勢いと小さいからこそのチームワークで日本一を狙う。

高さと強さと上手さ、総合力の高い桜花学園

 対する桜花学園は、準々決勝までは大差を付ける戦いとなったが、準決勝では一転、試合開始から終盤まで一点を争う息の詰まる試合となった。

 188センチの留学生センター2人を擁し、インサイドを中心に攻め込む京都精華学園に対し、桜花学園は平下結貴(3年)、横山智那美(2年)らのドライブなどで得点。前半は2点リードで終えた。

 後半に入ると、第3クォーター中盤には7点リードを奪い、このまま主導権を握るかに思われたが、京都精華学園の八木悠香(1年)に思い切りの良いドライブを決められ思うようにリードを広げることができない。残り約3分の時点で6点のリードも、残り1分から立て続けに失点。残り43秒には同点に追いつかれる。

 しかし、最後はこの試合10得点12リバウンド5アシストという数字を残した2年生ガードの横山がドライブで切れ込むとそこに合わせた朝比奈あずさ(3年)がシュートをねじ込む。バスケットカウントのフリースローもしっかりと沈めて熱戦に終止符を打った。

 この試合、絶対的な高さのある京都精華学園のセンターたちに与えた得点は2人で22点。「ダブルチームや時には3人がいかざるを得ない中で、まずまず守れたかなと思います」と井上コーチは言う。また、185センチでエースの朝比奈のファウルトラブルも懸念されたが、「リバウンドを取られたら、無理に抑えに行こうとしないように」という指揮官の指示どおり、朝比奈はファウルトラブルを回避。それどころか、ファウルがかさんだのは京都精華学園のセンター陣だった。

 残り2秒でつかんだ勝利に、井上コーチは選手のメンタル面を勝因に挙げる。

「(6月の)東海大会では(決勝で岐阜女子に)メンタルで負けたけれど、(インターハイに向けて)モチベーションが上がってるのはわかったので、そこが変わったと思います」

 明日の決勝に向けては「(強みである)インサイドを中心に攻めたいと思っていますが、相手もトラップ等をしてくると思うので、そこでどう対応するか」と語る。

 準決勝とは異なり、朝比奈や179センチの森美麗(2年)ら高さで優位に立つ桜花学園。一方、ここまでも強力なセンターを擁するチームなど高さのハンディに対抗するスピードとチーム力で勝ち上がってきた大阪薫英。名門校同士の対戦は、インターハイの決勝にふさわしい熱戦になるに違いない。

写真=伊藤 大允
取材・文=田島早苗
 

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