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明星学園高校(東京都)のディフェンスは全国でも凄かった。
惜しくもベスト4進出とはならなかったが、今回の対戦相手や試合を目の当たりにした出場チームは驚きを覚えたのではないだろうか。
そのディフェンスの威力は、一概には言えないもののスタッツからも汲み取れる。明星学園が対戦した相手のターンオーバー数を初戦から順に見ると、「26」「26」「29」という数字が記されている。
今年から張一コーチが新指揮官に就任以降、チームは前任の椎名眞一氏が築いた伝統のチェンジングディフェンスに加え、フルコートで激しくプレッシャーをかけ続けるディフェンスにも注力してきた。
185センチを超える留学生2名の高さに加え、40分間走り回るガード陣の速さを武器に、6月の関東大会、その後のインターハイ東京都予選を無敗で通過。その勢いと短期間で培ったディフェンス力は「令和3年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会」に入っても続き、初戦で聖和学園高校(宮城県)を100−60、3回戦では87−59で熊本商業高校(熊本県)を退けた。
京都精華学園高校(京都府)との準々決勝は終始競り合う好ゲームとなった。しかし、終盤に起きたアディクペ エスター(3年)、アダム アフォディヤ(2年)の両選手のファウルアウトが大きな痛手となり、最終スコア60−76で敗戦。それでも、これまで同様、試合開始と同時にフロントコートからダブルチームを仕掛けてストレスを与え、ボールを奪えば速攻や菅野響(3年)のアウトサイドシュートを中心に得点を重ねた。
「ビッグマンが抜けた時、それまで2人に頼りすぎていた部分が仇となってしまい最後にやられてしまいました」と敗因を述べた菅野だが、自身は4本の3ポイントシュートを射抜いて28得点をマークしている。それだけではない。チームとしては、相手の留学生に対抗する高さを失ったあとも最後まで懸命に足を動かし、一時リードを奪う気迫を見せた。
「明星も頑張りましたけど、相手もいいチームでした」。試合には敗れてしまったが、張コーチはそう言って両軍を讃えた。
キャプテンを務める菅野も、この日、差が出たシュート率については反省したが、大会を通じて披露した守備に関しては確かな手応えを口にする。
「大会前は東京都と関東でしか試合ができなかったですけど、この大会で自分たちのディフェンスが通用することが分かりました。もっと激しいディフェンスを40分間続けられるように頑張っていきたいです」
他チーム同様、未だ収まる気配のないウイルスの影響を受けながらも、短期間でチームを作り上げた張コーチ。インターハイを終え「明星には留学生がいますけど、チームディフェンスができなければ優勝はできないと思っています」と気を引き締め、これからを見据えた。
「選手たちは一生懸命やりましたけど、これから。まだまだ練習ができていないです。チームディフェンス、マンツーマンディフェンス、留学生がいる時のディフェンス、日本人選手だけのディフェンス……。いろいろなディフェンスを作って、選手起用も全員使えるようなバスケットを目指したいです」
指揮官の言葉からも分かるように、明星学園のディフェンスはまだまだこんなもんじゃない。