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2015年以来となるインターハイの準々決勝は、高校バスケット界の“女王”に完敗。「令和3年度 全国高等学校総合体育大会 女子バスケットボール競技大会」の4日目、聖カタリナ学園高校(愛媛県)は桜花学園高校(愛知県)と対戦し、45−100で敗れた。
「面食らってしまいましたね……悔しいですね。100点を取らせないようにと思っていたんですけど……完敗ですね」
聖カタリナ学園の後藤良太コーチは試合後のコメントをそう絞り出した。
これは筆者の先入観かもしれないが、聖カタリナ学園といえば、前身の聖カタリナ女子のころから、身長の大きな選手はいないけれども、小柄な選手がコートを縦横無尽に駆け回るイメージが強い。わかりやすい例を挙げれば、同校の卒業生で、女子日本代表として東京オリンピック2020で銀メダルを獲得した宮崎早織(ENEOSサンフラワーズ)である。
そんな「小さいけど、走り回って、相手を攪乱する」聖カタリナ学園にこの夏、178センチの選手がいた。いや、もちろんこれまでも近平奈緒子(アイシンウィングス)や濱口京子(三菱電機コアラーズ)のように180センチ前後のセンターはいたのだが、それ以上に小さい選手たちの動きに目を奪われていた。
しかし山本遥香(3年)は、アンダーカテゴリーの代表やWリーグで活躍する選手たちとはどこか違って見えた。センターというより、どちらかといえばフォワードに近いタイプだろうか。後藤コーチが彼女を「器用な子」と評するとおり、ドライブもできて、速攻でも走れて、リバウンドにも積極的に飛び込んでくる。
圧巻だったのは前日の札幌山の手高校(北海道)戦。彼女は19得点21リバウンドを獲得し、チームの勝利に貢献している。
聖カタリナ学園にはあまり見覚えのない選手だけに、桜花学園のビッグマンたちにどれだけ戦えるかを楽しみにしていた。結果は――6得点7リバウンド。しかも自らのファウルトラブルで、ベンチにいる時間が多くなり、それらの数字はゲームの終盤、桜花学園が主力メンバーをベンチに下げてから積み重ねたものでもある。
それでも彼女の持ち味であり、役割とも言う「外からリバウンドに飛び込む」ことや「相手に走り勝つ」マインドを貫けたことは、冬に向けた収穫でもある。
「たとえ点差が開いたとしても、最後まで自分たちのバスケットをやろうと思っていたし、だからこそ自分も走って、リバウンドを飛び込んで、ルーズボールまで一生懸命やろうと思っていました」
後藤コーチも今大会の山本は「よくやってくれたと思います」と一定の評価をしている。しかし、その言葉のすぐ後には課題が口を突く。
「でも、もう一度体を作らないといけません。本人も体の弱さをわかっていて、トレーニングでちょっと逃げちゃう面があるので、そこをしっかりやらせるしかないかなと」
これまでの対戦にはない桜花学園のパワーに圧倒され、手に触れたリバウンドも取り切れずにインターハイを終えることになった山本も、しっかりと後藤コーチの思いに呼応する。
「インサイドで当たっても張り合えるような力と、ディフェンス力、オフェンス力、走る力をもっとつけていきたいです。トレーニングは苦手なんですけど、冬に向けて、しっかりやっていきたいです!」
桜花学園の強さを自らの肌で感じて、それでもまた戦いたいと思うのであれば、もう後戻りはできない。言い訳も効かない。彼女がパワーアップし、周りの選手たちが小気味よくプレーできれば、冬はもっとおもしろい聖カタリナ学園が見られるかもしれない。
文・写真=三上太