2022.05.10

【注目選手紹介】点取り屋と司令塔を兼任。“正智深谷の起点”ルーニー慧が誓う全国ベスト4への飛躍。

1年次からスターターに名前を連ねる正智深谷のコンボガード、ルーニー慧に注目 [写真]=小永吉陽子
スポーツライター

 ウインターカップで2年連続ベスト8入りした正智深谷高校。ここ数年、着実にステップアップをしてきた正智深谷の中で、1年次からスターターに名を連ねているのがルーニー慧だ。昨年のウインターカップでは4試合で平均17得点9.5リバウンドを記録。多彩なオフェンスを展開する起点になりながら、リバウンドの強さも発揮してきた。早生まれであることから、1年延期になったU16アジア選手権の代表候補にも選出されている注目のコンボガードである。

 ニュージーランド人の父と日本人の母を持ち、独特のリズムから繰り出される得点力が一番の魅力。昨年まではシューティングガードとして得点の要となってきたが、ルーニーとの2枚看板として期待されていた司令塔の菊田隼利がケガで離脱していることもあり、今年はポイントガードのポジションにチャレンジしている。そのため、ルーニーが担う役割が非常に多くなるため、「チーム作りは試行錯誤中」だと成田靖コーチは話す。

「菊田の代わりにルーニーを1番(PG)にすると、点を取るのも、ゲームメイクも、チームをまとめるのも、全部がルーニー頼りになってしまうので、彼にものすごい負担がかかってしまうのがチームの課題です。また彼自身もこれまで2番(SG)だからこそ攻めながらアシストを出せた部分があるので、彼を2番で起用して役割を軽減したい意向はあります。ですが菊田が抜けている今、何でもやりながら引っ張っていく良さが出てきているので、一回り成長したエースになってくれることを期待しています」

 ルーニー自身も役割の多さは自覚しており、「ゲームメイクも得点も声がけも、全部のプレーにおいて、自分がチームの起点となれるようにやり遂げたい。将来的にはポイントガードになりたいので、今年はチャレンジの年です」と意欲的に取り組んでいる。

 ポイントガードとして成田コーチから指摘されている課題は「運動量を増やすことと脚力の強さをつけること」。ルーニーがゲームメイクに迷ってしまうことで、チームの流れが止まってしまう場面が4月の埼玉カップでも見受けられた。その課題については本人も自覚しており、「自分がボールを持つ時間が長くなるとリズムが悪くなってしまうので、状況判断を良くして、今以上にオフェンスもディフェンスも足を動かすことを意識してプレーします」と語る。

 2年連続でウインターカップ8強に貢献したルーニーだが、悔しさも味わっている。昨年のウインターカップでは、準々決勝の福岡大学附属大濠高校戦において、ファウルトラブルから4得点に終わり、「何もできずに悔しかった」と肩を落とした。だからこそ、正智深谷の司令塔でありエースは力を込めて誓う。

「今年の目標はベスト8の壁を超えて全国大会でベスト4になること。自分が全部のプレーで引っ張ります」

正智深谷は2012年のインターハイ以来となるベスト4を目指す [写真]=小永吉陽子


取材・文・写真=小永吉陽子