2021.12.27

2年連続のベスト8敗退…“シャイ”な主将、関河虎南は3ポイントを武器に正智深谷をけん引

正智深谷のシャイなキャプテン、関河虎南がプレーでチームをリードした [写真提供]=日本バスケットボール協会
フリーライター

「うーん……。正直なところ、完敗ですね」

 最終スコア53−96。「SoftBank ウインターカップ2021 令和3年度 第74回全国高等学校バスケットボール選手権大会」準々決勝、正智深谷高校(埼玉県)は福岡大学附属大濠高校(福岡県)に大差で敗れた。

 けれど、正智深谷はエントリーメンバーの平均身長が180.2センチしかないにも関わらず、2回戦の東海大学付属諏訪高校(長野県)戦、3回戦の駒澤大学附属苫小牧高校(北海道)戦はともに1ケタ点差で勝利。2試合連続で接戦をものにし、昨年初めて踏み入れたメインコートに再び辿り着いた。

 2年連続のウインターカップベスト8――。この結果を周りはどう受け止めるだろうか。

 正智深谷を指揮する成田靖コーチは、冒頭に記した言葉で試合を総括したが、「今日の試合に関しては完敗ですけど、このメンバーでよくここまで来ました。サイズがない分、足とシュート力で戦った彼らをすごく誇らしく思います」とも話し、選手たちを称えた。

 その一方で、「自分たちが今年目標にしてきたのは、去年の先輩たちに連れてきてもらったベスト8ではなく表彰台に立つことでした。『今年こそは』と思っていたんですけど、ベスト8で負けてしまってすごく悔しいです」と振り返った選手がいる。正智深谷の背番号4を背負う関河虎南(3年)だ。

 新チーム発足時、キャプテンに就任した関河は「今までやったことないのでプレッシャーがあります」と不安そうに話していた。そんな中でお手本にしていたのは、昨年のキャプテンを務めた太田誠(現・國學院大学1年)だった。だが、声でチームをまとめていた太田と比べ、関河は口数が少ない人間だったため「自分はプレーでチームを引っ張ろう」と心を入れ替えたという。

 関河の最大の武器、それはシュート力。特に3ポイントシュートが最も得意であり、福大大濠でも序盤から果敢に打ち続けて12本中6本を成功させた。大会を通して18本の長距離砲を射抜いたポイントガードは「10割中、8割くらいは出せた」と自身のシュート力を評価し、「少しでしたけど、プレーで引っ張れたのでよかったなと思います」と述べた。

「ベスト4に行けるように頑張れ」とメッセージをくれたという前主将の成績は超えられなかった。しかし成田コーチは、この1年、不慣れながらもチームの先頭でまとめたキャプテンについてこんな言葉を送る。

「太田は明るくて“口”を使えたんですけど、虎南はどちらかというとシャイなので、コミュニケーションを取ることが苦手でした。1年前と比べたらよく喋れるようになったのかなと思いますし、これから大学でポイントガードをやるには、コミュニケーション力がないと上に行けないので、もうちょっと頑張ってもらいたいっていう思いもありますね」

 ちょっぴりシャイな関河は、持ち前のシュート力を武器にこれからどんな選手へと成長するのか。またどこかでチームの主将を任されるときが来るのだろうか。目標のBリーガーになるために、関河虎南は次の一歩を踏み出す。

文=小沼克年

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