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7月27日、「令和4年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」が香川県で開幕。善通寺市民体育館では男子1回戦が行われた。
県立日川高校(山梨県)と対戦した東海大学付属諏訪高校(長野県)は、試合開始からインターハイ用に準備してきた2−1−2のオールコートプレスを軸にゲームを支配。防御から攻撃への切り返しを高めて、速いパス回しから相手のディフェンスの穴を突くスタイルを40分貫き、119−68で快勝した。
試合後、メディア対応を行った東海大諏訪の入野貴幸コーチは、「大会の初戦ということで試合の序盤は硬さが見られましたが、次第に体が動くようになって及第点のバスケをしてくれました」と笑顔で答えた。
インターハイやウインターカップなどの全国大会で常に上位進出を期待される存在となった同校だが、昨年のウインターカップでは2回戦敗退の憂き目を見た。入野コーチは「タレントが増えてきたと言われていますが、だからこそ、今大会は“諏訪メンタリティー”を徹底してきました」と言う。
「泥臭いプレーや大会前の下馬評とか覆す反骨精神などを発揮して、それこそザック(バランスキー/現アルバルク東京)などの卒業生が結果を出してきました。今大会もそれに立ち返って諏訪メンタリティーが存分に出せるように頑張りたいですね」と、強調する。
この試合で目についたのが、コーチ陣だけでなく、ベンチの選手がコート上でプレーする選手に声をかけるシーンが多いことだ。まるで自分がコートにいるかのようにプレーに一喜一憂し、ときに激を飛ばせば、アドバイスを積極的に送る。まさにチーム一丸で戦うその姿勢は、残念ながら一般の観客は会場に入れないが、もし観戦できたとしたら多くのファンを獲得したと思える魅力的なものだ。
加えて、入野コーチが語ってくれたのが「ゴーストスタッツ」についてだ。「これは数字に残らないスタッツのことです。例えばルーズボールに頭から飛び込んだり、ベンチから声を出してチームを支えることなどが挙げられます」と説明してくれた。
U16、U17の日本代表も務めた石口直は、まさにその申し子と言うことができる。コロナ禍の中で行われる今大会ではソーシャルディスタンスを確保するためにベンチに置くイスの間隔を開けている。そのためベンチは2列になっているのだが、石口はその後方からでも乗り出すように声を出し続け、コート上の選手を鼓舞する。
アンダーカテゴリーの日本代表ではポイントガードを務めたが、自チームではシュート力を生かしてシューティングガードでプレーする。「やっぱり2番の方がリングにアタックできる機会がとても多くなるので、やりやすいですね」と石口。加えて司令塔として代表でゲームコントロールに磨きをかけたことでプレーの幅を広げ、コンボガードへと成長した。
「やっぱり勝ちにこだわりたいです。日本一になるには、勝ちにこだわらないと行けないと思います。自分もチームメートも気持ちはそろっているので、勝ちにこだわって日本一を目指して頑張ります」と力を込める。スペインで開催されたFIBA U17ワールドカップから帰国後、チームに合流してあまり日にちは経っていないが、疲れも見せずに石口はコートを駆け回るはずだ。
取材・文=入江美紀雄
写真=伊藤 大允