2022.07.26

【インターハイ2022男子展望】昨年からの経験を持つ「福岡第一、中部大第一、開志国際」を軸に各校の成長に期待

福岡第一、仙台大明成、中部大第一、開志国際を中心に優勝争いが繰り広げられるだろう [写真]=山田智子、小永吉陽子、小沼克年
スポーツライター

 今年のインターハイの組み合わせは、四隅のシード校を軸としてバランスよく配置された印象を持つ。その中で、昨年からの経験値と選手層の厚さを誇る第1シードの福岡第一(福岡)、第2シードの開志国際(新潟)、第3シードで昨年の覇者である中部大第一(愛知)を中心に展開するだろう。

優勝候補が4ブロックに分かれた組み合わせ

3年ぶりのインターハイ優勝を目指す福岡第一 [写真]=小沼克年


 今年も堅守速攻がモットーの福岡第一高校(福岡県)は、司令塔の轟琉維と城戸賢心の3年生ガードコンビが中心。チーム全体の高さはないが、プレッシャーディフェンスから畳みかける速攻や連携プレーは健在で、展開力の速さは高校界ナンバーワンといっていいだろう。さらに、ベンチから出てくるガードたちも仕事人が揃い、層の厚さが際立っている。

 開志国際高校(新潟県)は昨年から戦力が変わらないので“経験”というアドバンテージを持つうえに、サイズがある点が強みだ。3ポイントやドライブを得意とし、フィニッシュでダンクをぶちこむ197センチの介川アンソニー翔、U17代表で世界舞台を経験した190センチの武藤俊太朗(ともに3年生)の2枚看板が軸となる。すでに存在感を見せている1年生ガードの平良宗龍にも注目だ。

 中部大学第一高校(愛知県)も昨年からのメンバーを擁しており、加えてウイングとインサイドに高さを持つ。速いボールプッシュで展開を作る下山瑛司、194センチの大型シューター坂本康成、力強さを持つ小澤飛悠、機動力で引っかき回す小田晟ら3年生個性派カルテットがアップテンポなバスケを展開。乗った時は止められない爆発力を持つ。

 第4シードの仙台大学附属明成高校(宮城県)は昨年までの大型化から一転し、全員攻防のトランジションバスケで挑む。今年は他校に比べて対外試合ができておらず、経験の面ではこれからのチームだが、東北を制して地力がついてきたところだ。エース内藤晴樹とセンターのウィリアムスショーン莉音のリバウンドを軸に、一戦ごとに成長していくことがカギとなる。

有力選手を擁する実力校が目白押し

エースの星川(中)を中心に上位進出を目指す洛南 [写真]=吉田孝光


 シード校以外の注目校をあげていこう。左上のブロックでは近畿大会を制した洛南高校(京都府)が有力だ。193センチでフィジカルの強さを持つ星川開聖(3年)を中心に、どこからでも攻められるオールラウンドな展開で勝負する。U18代表候補のポイントガード山田哲汰(188センチ)を擁する白樺学園(北海道)、東海大会準優勝の桜丘(愛知)も注目校だ。
 
 右下のブロックに位置する東海大学付諏訪(長野県)はノーシードから上位を目指す。司令塔の高山鈴琉、オールラウンダーの中川知定真らは1年次より主力を務めているメンバー。U17ワールドカップに出場したガードの石口直も経験を積んでおり、3年生の主軸が揃った今年は勝負の年だろう。また、門川太一(196センチ)と大橋翔大(201センチ)の3年生ツインタワーを擁する九州学院高校(熊本県)、柳ヶ浦高校(大分県)、つくば秀英高校(茨城県)らも上位進出を狙える存在として注目。香川代表の尽誠学園は小兵ではあるが、粘り強いディフェンスと3ポイントを武器に地元インターハイを沸かせてくれるだろう。

 右上シードのブロックでは東北大会準優勝の羽黒高校(山形県)がダークホース的存在だ。U17代表で2年生エースの小川瑛次郎とキャプテンの加藤律輝(3年)を中心に、東北大会を欠場した留学生バヤルバートル・エンフアマル(2年)が復帰すれば面白い存在。また関東の強豪である八王子学園八王子高校(東京都)と船橋市立船橋高校(千葉県)、中国大会を制した広島皆実高校(広島県)も全員バスケで上位進出を狙う。

左下シードのブロックでは、U17代表で得点力あるガードのルーニー慧(3年)を擁し、関東大会で優勝した正智深谷高校(埼玉県)、組織的な攻防を武器とするダークホース北陸学院高校(石川県)、昨年のウインターカップでベスト8入りした小林高校(宮崎県)ら粘り強いチームが集まった。

 昨年からの経験値を持つチームが有力ではあるが、現時点はどのチームも発展途上。一戦ごとに成長するチームこそが夏を制するだろう。

文=小永吉陽子

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