2022.11.16

「チームの現在地を知ることができる」…U18日清食品トップリーグで奮闘する東海大諏訪

「流れが悪くなったときにどう立て直すかが課題」という司令塔の髙山 [写真]=田島早苗
フリーライター

 11月13日、名古屋市の中村スポーツセンターにて行われた「U18日清食品トップリーグ2022(男子)」。福岡第一高校(福岡県)と対戦した東海大学付属諏訪高校(長野県)は、「どの試合を見ても彼からバスケットが始まっている」(入野貴幸コーチ)という理由から、相手の司令塔である轟琉維(3年)に対し同じくエースガードの髙山鈴琉(3年)が出だしからフェイスガードでマークする策に出た。

 結果的には、「そこはうまくいったと思います」(入野コーチ)と、前日の仙台大学附属明成高校(宮城県)戦で24得点11リバウンド10アシストと、トリプルダブルを記録した轟を10得点5リバウンドに抑えることに成功。さらには、相手がリズムをつかむ前に先手を取ったことで、序盤は優位に試合を進めた。

 しかし、「第1クォーターの出だしは自分たちのペースですごくいいバスケットができたのですが、1つのミスから途中で流れが変わってしまい、第1クォーターを終えた時点で(リードが)1点になってしまったところが自分たちの反省です」と髙山が言うように、第1クォーター終盤から福岡第一に追い上げられると、一時は10点近くあったリードも1点に。さらに第2クォーターでは思うようにシュートを決め切れず、ミスも乗じてわずか4得点に留まってしまう。

「立ち上がりは良かったのですが、(相手の)セカンドのユニットになったときにエラーが起き始めました。弱気がそのままディフェンスリバウンドなどの球際の弱さにもつながってしまいました」と、入野コーチ。そのまま前半は24−37と13点のビハインドで終えることとなった。

攻め気あるプレーを見せ、福岡第一戦で25得点を挙げた石口 [写真]=田島早苗


 それでも、第3クォーター以降はアグレッシブさが戻り互角の展開に。だが、前半でのビハインドが響いて最後は58−77で敗れた。

「こちらがプレッシャーをかけようとしても、彼らは普段から高いレベルで練習をしているので、判断スキルもスピードも落ちていかない。だからまだ(自分たちの)普段の練習が緩いということですね」と、入野コーチは夏のインターハイ覇者である福岡第一との対戦での感想をこう語った。

 ただ、敗れたはしたものの、「高校3年間で初めてこういう強度の高い相手とやらせてもらい、自分たちが普段感じられないことを感じることができたのはすごくいい経験になりました」と、髙山は言う。また、U18トップリーグについても「練習試合にはない緊張感のある試合ができるので、自分たちにとってはありがたいです」ともコメントした。

 東海大諏訪は、10月8日の福岡大学附属大濠高校(福岡県)との一戦ではゾーンディフェンスで対抗。最後は15点差で敗れたものの、前半を終えて6点のリードを奪うなど健闘を見せた。

 U18トップリーグでは、5試合すべてで「少しずつアレンジしてディフェンスを変えている」(入野コーチ)とのことで、ウインターカップ前に対抗策を施しながら戦えることは大きいと指揮官はいう。

「今の自分たちの現在地を知ることができます。現在地がフワッとして見えない中でやるのと、見えている中でやるのとでは全然違いますから。そういう意味では、戦えないレベルではないと思うのですが、ほんの少しの違いで、このレベルだと点数がポンと開いてしまうんだという気づきになりました」(入野コーチ)

 加えて、「結局は作戦ではなくなるんですよね。やっぱり体の寄せ一つ取っても、もう一つ二つレベルを上げていかないと。最後は策じゃないんだぞというところを今週1週間で、振り返ることができればいいかなと感じています」と、トップリーグでの戦いからは、様々な収穫も得ているようだった。

U18トップリーグで貴重な経験を積んでいる東海大諏訪 [写真]=田島早苗


 この2年間はコロナ禍により練習ゲームができなかったという東海大付諏訪。9月から始まった今年のU18トップリーグは11月末で終わりを迎え、あとは2試合を残すのみ。これまでと変わらず、一つ一つの経験をプラスに変えて、チームは今後もさらなるレベルアップを図っていく。

取材・文・写真=田島早苗