2022.12.18

【ウインターカップ2022注目校】東海大福岡(福岡)「夏につかんだ自信を胸に、新たなチャレンジが始まる」

今夏のインターハイで旋風を巻き起こした東海大学付属福岡高校[写真]=伊藤大允
フリーライター

 今夏のインターハイ、男子の部で旋風を巻き起こしたのが藤枝明誠高校(静岡県)ならば、女子は東海大学付属福岡高校(福岡県)と言えるだろう。

 ウインターカップは今年で4年連続の出場となる同校だが、インターハイでは4年ぶりの出場を果たした。メンバー全員が初めて挑んだ夏の大舞台は、倉敷翠松高校(岡山県)、土浦日本大学高校(茨城県)を退けてベスト8へ進出すると、準々決勝では第3シードの明星学園高校(東京都)を撃破。準決勝で敗れはしたものの、大阪薫英女学院高校(大阪府)相手に78-80の競り合いを演じるなど、快進撃を見せて創部初となる全国ベスト4の扉を開いた。準々決勝を終えた日の夜、筆者が宿泊していたホテルに、選手たちの両親と思われる御一行が興奮気味に新たな予約を取っていた姿もいい思い出として残っている。

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 今年の夏冬通じての県予選優勝に加え、6月には九州大会で初優勝。2020年にもウインターカップ県予選で優勝している東海大福岡は、近年着実に力をつけてきた。チームの柱となるのは最上級生となったファール アミナタ(3年)だ。2年前に東海大福岡に加わったアミナタは、197センチの圧倒的な高さを誇る留学生センター。学年が上がるに連れてプレーの質も高まり、今では大きな声を張り上げてチームを鼓舞するリーダーシップも兼ね備える選手へと成長を遂げた。

 チームはアミナタの加入後、全国レベルの高さに対抗できるようになった。この点が各大会で好成績を残すことができた1つの要因であることは否定できない。だが、東海大福岡の強さはそれだけではない。同校はハードなディフェンスからの速攻を本来の武器としており、高さではなく機動力を生かした“平面バスケ”を得意とする。それだけに、宮﨑優介コーチが常々口にしているのは「決してアミナタだけではない」というような言葉だ。

 アミナタのインサイドプレー以外にも赤間静夏(3年)、境さくら(2年)らが外角からシュートを沈め、ガードの浜口さくら(2年)は鋭いドライブでディフェンスを切り裂く。司令塔として試合をコントロールする伊良部由明(2年)はチーム内で“ファンタジスタ”と呼ばれるなど、周りの選手もしっかりと各々の役目を果たすことができる。

 また、今年はもう1人の留学生センターのアミ チャラウ、ウインターカップ予選でも活躍した伊東友莉香のルーキーが加入。アミナタは昨年までと違い、日々の練習から188センチのチャラウとマッチアップできることで、より多くの刺激を受けていると指揮官は言う。強気なインサイドプレーが持ち味の伊東については、「1年生でインターハイを経験して、秋の国体でも経験を積んだことが彼女の自信に繋がっていると思います」と宮﨑コーチ。両選手の加入により、東海大福岡のインサイドは確実に戦力アップに成功した。

 ウインターカップ予選ではエースガードの浜口が出場を回避したが、「周りからは遜色なく戦っているねと言ってもらえています。それは今プレータイムがある選手たちの頑張りのおかげで、(チームプレーを)体現できていると思います」と宮﨑コーチは手応えを口にする。ウインターカップ県予選優勝を決めた直後には、「どうしても子どもたちの中ではアミナタについ目がいってしまう部分があります。ですので、ガード陣にはもっと自信を持って自分からバスケットを作っていくことを求めていきたい」と今後へ向けてコメントした。

 福岡県1位の座を守り抜き、今回のウインターカップは第4シードを獲得。同じブロックには4連覇がかかる桜花学園高校(愛知県)が入り、ともに勝ち上がれば3回戦で激突する。しかし、「どこが来ても一戦一戦気が抜けない」(宮﨑コーチ)と、まず照準を合わせるのは12月24日の初陣だ。夏につかんだ確かな自信を胸に、東海大福岡の新たなチャレンジが始まる。

文=小沼克年