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インターハイでは創部5年目で優勝を成し遂げ、今年も準優勝の成績を収めた開志国際高校(新潟県)。だが、ウインターカップでは苦しい戦いが続いている。
昨年は、のちに優勝を果たした福岡大学附属大濠高校(福岡県)相手に1回戦敗退。2020年は3回戦を前に新型コロナウイルス感染症の影響を受け、棄権を余儀なくされた。2019年にも福大大濠と初戦で顔を合わせ敗れており、インターハイ王者として挑んだ2018年も2試合で大会を去っている。
今年は県予選の決勝リーグを無敗で乗り切り、新潟県1位としてウインターカップの第2シードを獲得。しかし、チームはまたしても初戦から苦戦を強いられそうだ。初陣の相手となるのは八女学院高校(福岡県)と仙台大学附属明成高校(宮城県)の勝者。八女学院は福岡第一高校、福大大濠に次ぐ福岡の3位チームであり、仙台大明成は全国常連校かつ2020年のウインターカップ覇者。しかもこの年の3回戦のカードは、仙台大明成vs開志国際となるはずだった。どちらが勝ち上がってきても初戦が大きな山場になるだろう。
とはいえ、インターハイ準優勝の結果が物語るように、今年の開志国際は強い。昨年から先発を担ってきた介川アンソニー翔、武藤俊太朗(ともに3年)、澤田竜馬(2年)を筆頭に、インサイドには2枚の留学生センターに加え、U18日本代表に選出された境アリーム(3年)もいる。さらに、今夏のインターハイで注目の的となった平良宗龍(1年)も忘れてはならない。「パスはできるし、シュート力もあって度胸もいい」と、夏は富樫英樹コーチから「150点以上」の評価を受けたゴールデンルーキーが、初のウインターカップでも会場の度肝を抜くか注目したい。
インターハイ決勝では、福岡第一との死闘の末に逆転負けを喫した。試合をひっくり返されたのは、試合終了まで残り5秒のところだった。主力選手のファウルアウト、相手のプレスに引っかかった最後のボール運びの場面など、振り返れば悔やまれるプレーがいくつも出てくることだろう。だが、この悔しさを今後の原動力に変えなければ意味がない。インターハイ後、富樫コーチは「よくここまで頑張った」と選手たちを労い、「今度こそ見ていてください」と言葉に力を込めた。エースとしての仕事を全うした介川もまた、「この悔しい思いを忘れないで、去年の(ウインターカップの)分も含めて優勝したいです」と前を向き、高校最後の大一番を見据える。
チームは10月に地元でのカップ戦(第2回胎内カップバスケットボールフェステバル )を通じても福岡第一と2度対戦し、結果は1勝1敗。ともにダブルヘッダーの2試合目に組まれたなかでの対戦だったが、選手たちにとっては「倒せる」「優勝できる」といった手応えや自信を保つ有意義な2試合になったはずだ。
指揮官がウインターカップまでの課題の1つに挙げたのが、試合を組み立てるポイントガードの強化である。先発を務める澤田は昨年から多くの経験を積む司令塔だが、「ずっと使いっぱなしなので、休ませながらプレーをさせないと長丁場はきついなと感じました」と富樫コーチは言う。そのため、夏はスコアラーの役目を担った平良をはじめ、控えガードの清水脩真(1年)と中島遙希(2年)には、より試合をコントロールするスキルが求められそうだ。
タレントが揃う今年の開志国際だが、チームスローガンの『凡事徹底』を貫くスタイルは変わらない。身体能力に優れた選手たちが華やかなプレーを見せつつ、その裏で泥臭いこともチーム一丸となって徹底する。それできれば大いに苦しんだ長い冬が終わり、ようやく雪解けを迎えることができるだろう。
文=小沼克年