2023.07.28

ファイナル進出を目指す札幌山の手・栗林瞳…あこがれの存在の「姉を超えられるように」

高さこそないがインサイドで体を張る栗林(左)[写真]=伊藤大允
フリーライター

「令和5年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」の初戦から順調に勝ち上がってきた札幌山の手高校(北海道)。7月28日の準々決勝では富岡東高校(徳島県)と対戦した。

 試合は、開始約1分で9ー0とした札幌山の手が主導権を握る。そのまま前半を64ー42とすると、後半こそ点差を詰められたものの、最後は98ー88で勝利。2016年以来となる準決勝進出を決めた。

 この試合、札幌山の手のスタートダッシュのキッカケを作ったのが栗林瞳(3年)だ。ファーストシュートを決めると、その後もスティールからの速攻と、約1分間で奪った9得点のうち4得点を稼いだ。

「チームとして試合の入りを良くするというのは目標にしていたことで、(相手チームが小さいことにより)ミスマッチも起こりやすかったので、中に入って攻めようと思っていました」と、栗林。しかし、その後はファウルを2つ犯してしまい早々にベンチに戻るなど、この試合の出場時間は11分弱にとどまった(8得点5リバウンド)。

「ファウルをしてはいけないと言われていたので気を付けてはいたのですが、ボールを取りに行くところを、相手の手にいってしまいました。明日(準決勝)はしっかり修正したいと思います」と、栗林は自身のディフェンスについて反省の言葉を発した。

 29日の準決勝は京都精華学園高校(京都府)と対戦。特にインサイドを任されている栗林にとっては、188センチのディマロ ジェシカのマークも予想されるため、「自分一人では絶対に守れないのでチームメートに声をかけながら守りたいです。それと、ファウルをしてベンチに下がってしまうとチームは大変になるので、そこも気をつけたいです」と、意気込む。

 最上級生となった今年は「谷口(憂花)選手や大山(瑚南菜)選手のように外のプレーはあまりできないので、中でしっかり体を張って大きい選手につくことやリバウンドをしっかりやること」を自身の役割と捉えており、上島コーチも「インサイドで戦うこと。そこでたとえシュートが決まらなくてもファウルをもらってくれれば」という。

 これまでは度重なるケガに泣かされてきた栗林。ケガの期間はベンチでスコアをつけるときもあったが、「先輩たちの技術など見習うことが多かったので、スコアをつけながら先輩たちのプレーを見て、自分のプレーに生かそうと思っていました」と、できることに専念した。

 そんな栗林にとってバスケットを始めたときからのあこがれの存在がいる。それが7つ上の姉である栗林未和だ。Wリーグの東京羽田ヴィッキーズに今シーズンより移籍で加入した未和は、札幌山の手高校の卒業生。在籍時には1年生のときから主力として試合に出場し、3年生のときにはインターハイでベスト4入りにした。また、U19女子日本代表としても2017年のU19女子ワールドカップで4位という成績を収めている。

「一番のあこがれの選手だし、いつも大会前に連絡をくれます。次の準決勝でも頑張って恩返しできればいいなと思っています」と、笑顔を見せる。加えて、「(成績として)今、姉に追いついたところなので、明日、姉を超えられるように」と、姉も経験したことのない決勝進出にも意欲を見せた。

栗林にとって姉の未和(東京羽田)はあこがれであり、目標である存在 [写真]=伊藤大允


 高校最後に迎えた地元開催のインターハイ。「応援の方々も多く、山の手も先輩、OGの方たちももいっぱい会場に来てくれています。山の手の名に恥じないようなゲームを明日もしたいです」と、栗林はしっかりとした口調で準決勝に向けての思いを語っていた。

取材・文=田島早苗
写真=伊藤大允