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『B MY HERO!』
2年ぶりの女王返り咲きを目指す桜花学園高校(愛知県)が、「令和5年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」の決勝進出一番乗りを決めた。
同校は大阪薫英女学院高校(大阪府)に苦しめられるも、最後は74-59と引き離して準決勝を突破。立ち上がりからチームのギアを上げたのは、チームキャプテンの黒川心音(3年)だ。
初戦からの3試合、黒川は先発ポイントガードとしてコートに立つも、自身の強みである得点は「2」、「0」、「2」と不調が続いた。
しかし、準決勝では「ここまで全く点を取れていなかったので、どんどん点を取りにいかないといけない」と果敢にリングへアタック。大阪薫英の守りを自身のドライブ、パス、シュートでこじ開け、試合を通して挙げた12得点4アシストのうち10得点2アシストを前半で稼いだ。
「今日は出だしから点を取りにいっていましたし、全面的に気持ちを出していました。キャプテンシーをすごく発揮してくれたと思います」
指揮を執る長門明日香コーチも、この日の黒川の出来を満足そうに振り返った。当の本人は、いつも支えてくれる方の力だと感謝の言葉を送った。
「試合前も試合中も、チームメートやコーチ陣、応援してくれる人たちが『絶対勝てる』とかの声掛けをしてくれるので、そのおかげで自分も点を取ることができたのかなって思います」
彼女は攻撃型ガードでありながら、司令塔として攻撃のコントロールもしなければならない。今年の桜花学園はシューティングガードに点取り屋の田中こころ(3年)、インサイドでは深津唯生、白石弥桜(ともに2年)といった頼もしい下級生たちが並ぶ。
状況に応じて最適なプレーを選択することには少し苦労しているようだが、黒川は「一番はバランスよくプレーすることを心がけてます」と話し、「もっと周りを鼓舞して、できることは全部出しきりたい」と強調する。
過去2年間は、ガード陣に横山智那美(トヨタ自動車アンテロープス)らがおり、なかなかプレータイムを与えられなかった。それでも黒川は言う。
「苦労しましたけど、そこで腐らずにやり続けたからこそ今につながってると思います。桜花学園という場所で、高いレベルの選手たちと切磋琢磨することで自分も成長できて、いろんなことを吸収できたと思っています」
現在はチームに不可欠な存在となった。明日ももちろん、チームを束ねる司令塔、さらにはチームキャプテンとして先頭に立つ。
「チームキャプテンとしてもポイントガードとしても周りを鼓舞しつつ、 自分は冷静にプレーすることが大事。あとは強い気持ちを持って戦い続けたいと思います。明日は全員で楽しむことを忘れず、チーム力を大事にして、最後は勝って終わりたいです」
4人の兄妹は「全員同じポジション」。バスケ一家が誇る末っ子長女は、苦しんだ2年分の想いを京都精華学園高校(京都府)にぶつける。
取材・文=小沼克年