2023.07.31

インハイVへ導いた司令塔・堀内桜花「すごく嬉しい」京都精華学園は2年連続の夏冬連覇へ前進

インターハイ連覇を果たした京都精華学園[写真]=伊藤大允
元バスケットボールキング編集部。主に国内バスケ(Bリーグ、高校・大学バスケ)を中心に取材活動中。バスケでオウンゴールしたことあります。

「めっちゃうれしいでーす」

 少し脱力感のある関西なまりのヒーローインタビューに、熱気に包まれた会場が和んだ。

 7月30日、京都精華学園高校(京都府)は「令和5年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会」決勝戦で桜花学園高校(愛知県)を破り、インターハイ2連覇を達成。最後は88-65と差がつき、先発を担う5人は歓喜の瞬間をベンチで迎えた。

 堀内桜花は隣同士で座っていた八木悠香と両手でハイタッチを交わすと、そこにディマロ ジェシカ(いずれも3年)が駆け寄ってきた。中学時代から6年間一緒にプレーしている3人は、今や京都精華学園が誇る3本柱だ。決勝戦でも八木が20得点、ジェシカは20得点18リバウンドの活躍を見せた。

インターハイ優勝が決まり抱き合うジェシカと堀内[写真]=伊藤大允

「八木さんはチームが苦しい時とか負けている時に、一番強くリングにアタックしてくれるし、シュートも決めきる力もあってリバウンドでもめっちゃ頼りになりました。ジェシカは最後の試合でもしっかり走ってくれたし、リバウンドも取ってくれた。ジェシカは元々スピードはあったんですけど、中学の時はまだそんなに体力がなかったです。でも、高校に入ってから体力がついて、気持ちも強くなったことでしんどい時でも走れるようになりました」

 キャプテンを務める堀内は、2人の頼もしさを嬉しそうに語る。自身も桜花学園戦では18得点6アシストに加え、ディフェンスでは3つのスティールと2ブロックをマーク。攻撃では試合が進むに連れて積極的にリングに向かい、後半だけで13得点を挙げた。

「最終日で疲れもあった中で、前半はシュートが短かったです。でも、後半は相手のチームファウルも溜まっていたので、自分がもっとアタックしたらファウルも誘えるし、カバーが来たら周りに合わせようと思ってました。やっぱり上でパスを回してるだけやったら守りやすくなってしまうので、自分が崩していかないと、という強い気持ちでプレーしました」

随所でチームをけん引するプレーを見せた堀内[写真]=伊藤大允

 今大会の2回戦から登場した京都精華学園は、初戦でいきなり岐阜女子高校(岐阜県)と激突。オーバータイムまでもつれる死闘を繰り広げ、堀内はチームで唯一45分間コートに立ち続けてリーダーの背中を見せた。この試合で作った口元の青あざは、2連覇を達成したあとも痛々しく残っていた。「痛いです……」と堀内は小声で言ったが、笑顔だった。

「まだ2回戦だったけど、あの時はみんな優勝したくらいの気持ちになりました。岐阜女子さんに勝てたことでチームがより引き締まりましたし、そのあとも苦しい試合が続いたんですけど、最後まで粘り強く戦えたかなって思います」

決勝戦では果敢に攻め込むプレーも光った堀内[写真]=伊藤大允

 1年生から先発ポイントガードを務め、現在はパスだけではなく、得点、ディフェンス、リバウンドでもチームを引っ張る存在となった。ガード陣には林咲良、橋本芽依、桃井優という堀内に負けないほど個性豊かな2年生が並び、「下級生たちもやってくれる」と、プレーでは堀内が全てを担う必要はないかもしれない。それでも今の堀内には、日本一のチームで4番を背負う責任がある。

「自分は高校に入って3年目で、今まで接戦の試合を何回もやってますし、ガードでは自分が一番それを経験してます。やっぱり苦しい時は自分がしっかりして、もっと声を出して下級生たちをリードしなきゃいけないです」

 苦しみながらも2年連続で夏の頂点に立った。しかし、京都精華学園が見据える景色は、まだ先にある。

「インターハイで2連覇できたことはすごく嬉しいです。この気持ちを忘れずに、これからも謙虚に練習に取り組んで、もっとレベルアップして冬も日本一になれるように頑張りたいです」

 2年連続の夏冬連覇。その快挙を達成するまで、堀内桜花は京都精華学園のキャプテンかつ司令塔として走り続ける。

全国大会で夏冬3季連続優勝を果たした京都精華学園[写真]=伊藤大允

取材・文=小沼克年
写真=伊藤大允

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