Bリーグ公認応援番組
『B MY HERO!』
「選手は自分たちでスカウティングをするなど、いろいろなことをしていましたが、情報量が多すぎて、やらないといけないことができませんでした。これはもう選手には何の責任もなく、私のスカウティングの対応ミスです」
「令和5年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」の男子決勝、日本航空高校(山梨県)に敗れた東山高校(京都府)の大澤徹也コーチは、このように試合を振り返った。
スタートダッシュに成功したのは東山で、開始約5分で11-2とリード。しかし、「そこで安心してしまったところがあった」(佐藤友/3年)というように、その後は相手のゾーンディフェンスにも苦しみ、思うようなプレーができなかった。「走って、もっとアップテンポなバスケットをしたかったのですが。前半で29点は東山のバスケットではないし、相手のペースだと感じていました」と、第2クォーターで日本航空に逆転されると、前半は29-32の3点ビハインドで終えた。
後半、東山は佐藤友がコツコツとミドルシュートを沈めて喰らいついたが、この試合30得点21リバウンド5スティール5ブロックショットをマークした日本航空のオルワペルミ ジェラマイア(2年)が立ち塞がった。ジェラマイアのビッグプレーに観客が湧き出すと、さらにペースは日本航空へ。一方、次第にオフェンスが重くなってしまった東山は、反撃のきっかけをつかめず、最後は60-76で敗退を喫した。
7年ぶりの決勝進出も、初優勝の悲願を叶えることはできなかった。だが、前年はインターハイ、ウインターカップともに不出場。選手たちは全員が4年ぶりに出場した今大会が東山としての初の全国というなか、決勝まで駆け上がった。
佐藤友、瀬川琉久(2年)、佐藤凪(1年)といった攻撃力の高い選手がそろい、6月の近畿大会でも優勝。インターハイでも優勝候補の一角として大会に臨み、準々決勝では藤枝明誠高校(静岡県)、そして準決勝では福岡第一高校(福岡県)と、同じく優勝候補の呼び声高いチームを立て続けに倒した。それだけに、持てる力は十分に発揮したといえるだろう。だが、だからこそ本来の動きができなかった決勝が悔やまれることになった。
「ここまで勝ち上がって、(決勝を)勝ち切れないのは、選手ではなく私自身が乗り越えないといけないこと。選手たちには申し訳ないけれど、もう一度、上向いてやれる選手たちだと思っています。昨年、何も経験していないチームからすると大いなる躍進だと思うし、この経験は良い財産になります。チャレンジャーとしてもう一度這い上がる準備をしたいです」(大澤コーチ)
今大会でベスト4に終わった福岡第一や開志国際高校(新潟県)をはじめ、夏のリベンジを冬に誓うチームは多い。総決算となるウインターカップでは、頂点までの道のりが険しいことを知っているからこそ、指揮官は敗戦のショックにも冬へと気持ちを奮い立たせた。
「前半にターンオーバーが多かったので、ゲームコントロールを頑張っていきたいし、3ポイントシュートの確率も上げていきたいです」と、瀬川。ゲームキャプテンの佐藤友も「チームで戦えたことが一番の収穫。体力の部分も鍛えて、絶対に冬はリベンジして日本一を獲りたいです」と、語った。
北海道の札幌を舞台に行われた2023年のインターハイ。5試合を戦い抜いた東山は、そこで得たかけがえのない経験を土産に北の大地を後にした。
文=田島早苗