2024.08.06

197センチを誇るルーキーの音山繋太、悔しさ糧に「チームを勝たせる」オールラウンダーへ

インターハイの舞台を経験した中部大学第一の音山繋太 [写真]=小沼克年
フリーライター

 197センチ。大会プログラムにはそう記されている。中部大学第一高校(愛知県)の音山繋太は今後が楽しみなルーキーの1人だ。

 チームは「令和6年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」を2試合戦って福岡県を去ることとなった。1回戦は県立佐賀東高校(佐賀県)に76-55で勝利。しかし、続く2回戦は北陸高校(福井県)との競り合いの末に52-64で敗れた。

 夏のインターハイは1年生にとって初めての大舞台だ。今大会の音山は6、7人目のベンチメンバーとして出場機会を得ると、初戦では約18分のプレータイムで7得点。4本中1本の3ポイントシュートも沈めた。北陸戦では約12分の出場で2得点にとどまったが、ゴール下での得点シーンには指揮を執る常田健コーチからガッツポーズが飛び出した。

 常田コーチからは「点を取れ」と言われている。197センチながら内外でプレーすることができる音山だが、指揮官の期待に応えられず、チームも早期敗退。音山が経験した初のインターハイは、収穫よりも課題のほうが多く残る大会となった。

「北陸さんは全員がリバウンドに絡んできて3ポイントも入るので、ゾーンディフェンスで守る時もしっかりと前に出て守らなければいけなかったです。でも、出たところでパスを回されて、フリーの選手を作られてしまったので、自分のフットワークの足りなさを痛感しました。今までの試合では得点を取れていたんですけど、この大舞台となると相手の強度も一段上がってきました。いつもならできているプレー、決められるシュートがなかなか通用しなかったです」

指揮官も期待を寄せる1年生 [写真]=小沼克年

 全国のコートに立って肌で感じたことを持ち帰り、大型ルーキーはさらなる飛躍を目指す。インターハイ前には16歳の選手を対象に行った「第32回日・韓・中ジュニア交流競技会」に向けたU18日本代表のエントリーキャンプにも参加。この合宿からも刺激を受け、音山の見据える先は今までよりも高く、遠くなった。

「世代のトップレベルの選手たちが集まったので、その選手たちに置いていかれないというか、抜かす勢いでこれからもっとアグレッシブにプレーしないと代表でもアピールできないなと感じました」

 常田コーチの厳しい言葉からも、音山への期待がうかがえた。

「私からすると今の3年生がいまいちしっかりしていないので、下級生にチャンスを与えているだけです。音山は外のシュートが得意というか好きな選手。まだ体の線が細くてフィジカルの部分ではまだまだですけど、将来的には何でもできるような選手になっていかなければいけないと思います。実際にコートに立って経験させることで、大きな成長、変化につなげてほしいです」

 発展途上の1年生は、中部大第一に不可欠な存在となり、世代を代表するオールラウンダーになれるか。「他のチームよりも何倍も練習して、日本一を取れるように頑張ります。1年生だからとかは関係なく、これからはプレーでも声でも引っ張って、チームを勝たせるような選手になりたいです」。音山繋太は静かに闘志を燃やし、インターハイを後にした。

文=小沼克年