2024.07.27

【インターハイ男子注目選手】渡邉伶音(福大大濠)「世代屈指の逸材、初舞台に挑むハイタワー」

最上級生になりたくましさも増している福大大濠の渡邉伶音 [写真]=佐々木啓次
フリーライター

バスケどころ、福岡市で開催される「令和6年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」が8月4日に開幕。間もなくパリオリンピックが開幕されるが、北部九州インターハイに出場する未来のオリンピアン候補を紹介していく。

文=小沼克年

■高校の舞台以外でも引っ張りだこに

 2024年に入り、福岡大学附属大濠高校(福岡県)3年の渡邉伶音は忙しない日々を送っている。

 206センチ98キロ。恵まれた体格を生かしてインサイドで体を張り、3ポイントシュートも難なく沈める18歳は、1月に特別指定選手としてライジングゼファー福岡に加入。高校生活と並行して約5カ月にわたりB2の舞台を経験し、B1昇格を懸けたプレーオフのコートにも立った。

 その後は日本代表活動にも奔走した。B1でプレーする選手たちも名を連ねたディベロップメントキャンプへの参加に加え、U22日本代表にも選出。「第43回ウィリアム・ジョーンズカップ」に向けた事前合宿を経て、7月13日にチャイニーズ・タイペイで開幕した本戦では9日間で8試合という過密日程を戦い抜いた。

 “飛び級”でBリーグと日本代表でプレーした事実からも、渡邉が高校トップクラスかつ将来を嘱望される逸材だということを証明できる。福大大濠では1年生の頃から全国のコートにも立ち、昨年からは大黒柱としてゴール下に君臨。「留学生に対してもしっかり体を当てて勝負できるようになった」と、今ではフィジカルにも自信がついた。

 アンダーカテゴリーのFIBAアジアカップやワールドカップの出場経験もある渡邉だが、意外にもインターハイの舞台に立つのは今回が初となる。渡邉を含む福大大濠の3年生は、過去2年間はライバルの福岡第一に県予選で敗れ出場権を逃した。開催地となる今大会は2つの出場枠が設けられたが、渡邉は「福岡1位で出ることにすごく意味がある」と第1シードを勝ち取った喜びを噛みしめた。

 すでに豊富なキャリアを積むビッグマンに対し、「すごく成長しています」と話すのは同校の片峯聡太コーチ。その一方で指揮官は、「やっぱりBリーグや日本代表と高校バスケットの感覚は違います。スピード感は高校生の方がありますし、そのチャンネル合わせが大変だと思います」とも口にする。

 渡邉は将来を見据え、相手をかわしてシュートを打つスキルの習得にも着手している。しかし、次なる相手は同じ高校生。日本一獲得へは、自身の強みを生かしたシンプルなシュート、力強いリバウンドで存在感を示せるかどうかが重要になりそうだ。

オールラウンドなプレーが渡邉伶音の魅力 [写真]=佐々木啓次