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1月6日、「Jr.ウインターカップ2021-22 2021年度 第2回全国U15バスケットボール選手権大会」(以下、Jr.ウインターカップ)は3日目を迎えた。この日、女子3回戦第2試合に登場したKAISEIKANクラブ(静岡県)が、昨年の夏の全国中学校バスケットボール大会で準優勝した北九州市立折尾中学(福岡県)と対戦。
前半、KAISEIKANはインサイドのディフェンスを固めて、折尾中学に互角の試合を挑んだ、後半に入るとそれに折尾中学が対応。第3クォーターで一気にリードを広げられてしまう。KAISEIKANのシュートもリングを叩くようになり、59−74で敗れた。
この試合で目を引いたのがKAISEIKANの後藤音羽(3年)だ。チーム最長身の176センチながらゴール下のプレーだけでなく、チャンスと見れば1対1を仕掛けるドライブでリングにアタックした。
KAISEIKANの石川奈美ヘッドコーチは「身長も伸びたけど、一番は吸収率が素晴らしかった」と後藤の中学での3年間を振り返る。「こちらから何か提案すると、すぐトライしようとする。こういう場合、尻込みする選手が多い中、ミスを恐れずトライして、それをすぐ吸収する。仮にそこでミスをしても新たなアドバイスができるので、階段を上がるスピードが速かった」と、後藤の姿勢を評価した。
後藤は「今大会の目標は全中(全国中学校バスケットボール大会)でできなかった1勝を挙げることだったのでそれは達成できました」とコメント。次に「1対1の部分ではジャンプシュートが苦手で、決めなければいけないシュートを外すことも多かったと思います。相手を抜く技術は自分でもあると思うんですけど、状況判断をもっと磨きたいです」と課題を口にした。
そんな後藤の父は現在浜松開誠館高校男子バスケ部のコーチを務め、昨年末の「SoftBank ウインターカップ2021」でチームを初めて全国大会に導いた正規氏。引退と同時に指導者に転身した正規氏は現役時代、NBLのアイシン精機などでプレー、日本代表でも活躍したシューターだった。そして母は名古屋短期大学付属高校(現桜花学園高校)から愛知学泉大学、シャンソン化粧品などでプレーした元日本代表の旧姓竹内高美さん。
「普段からNBAが流れている家でした」という環境で育った後藤は「両親から先に来ることはあまりないんですけど、私が『どうしたらいいと思う?』とどんどん聞いていって、それに的確に答えてくれます」とのこと。
石川HCは高校に進学したら「チームを勝たせる選手、苦しい時に『自分にボールを回せ』と言える選手になってほしい。そのために、点を取れるオフェンス力を身に付けて。そこはまだまだ。お父さんは決めていたんだけど、娘はまだないから。でも伸びしろしかないですよ」と太鼓判を押す。
後藤も「高校ではチームを勝たせられる選手になりたいです」と目標は明確だ。ただその前に、「中学とはレベルが全然違うし、高校生としてのプレーというものがあると思いますので、まず開誠館高校のプレースタイルを覚えて。自分の仕事をはっきりさせてベンチに入って、試合に出られるようになりたいと思います」と足元も見つめる。
まだまだ原石の状態だが、ポテンシャルの高さに疑うものはないだろう。今度は高校の3年間でどのように磨かれ、そしてどんな活躍を見せてくれるのか。期待しかない。