2022.01.09

優勝へと導いたエース深津唯生(四日市メリノール学院)の笑顔の理由

「大きい選手に対しては、これからも工夫が必要で、スピードをもっと付けないといけない」と深津 [写真]=バスケットボールキング
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 1月8日、「Jr.ウインターカップ2021-22 2021年度 第2回全国U15バスケットボール選手権大会」は大会最終日を迎え、女子決勝では四日市メリノール学院中学校(三重県)が昨年に続き京都精華学園中学校(京都府)を破って優勝。2連覇を達成した。

 そのチームにおいて得点源を担い、試合後のヒーローインタビューではインタビュアーの質問にハキハキと答えていたのが深津唯生(3年)だ。最後にはメッセージを促され、「みんな大好きでーす!」と満面の笑みで発していた。

 だがその後、2階の応援席に向かって挨拶をすると、頬からは大粒の涙がとめどなく流れた。

「バスケットは1人でできるスポーツではないし、親の協力がなければ続けることもできませんでした。ユニフォームを着ることができなかった3年生もいる中、私は試合に出させてもらっていたので、そういった感謝の気持ちがいっぱいになり、涙があふれてしまいました」と深津。応援席を見た時に最初に目に入ったのは「一番応援してくれた」という同級生たちの顔だったそうだ。

 前回大会でもスターターを務め優勝に貢献。それでも本人は「先輩に頼ってしまう自分がいた」と振り返る。しかし、最上級生として迎えた今大会では、5試合すべてでダブルダブルを達成し、一試合平均31.8得点15リバウンドという数字をマーク。大会ベストファイブにも選ばれ、まさに大車輪の活躍を見せた。

 178センチの高さだけでなく、ポストプレーや3ポイントシュート、ドライブからのバックシュートにフローターシュートまで得点パターンは多彩。ボールミートやドリブル、パスといった基本動きにも忠実でミスが少ないのも特長だ。加えて、決勝ではそれまで一試合平均35.5得点を上げていた191センチのユサフ ボランレ アイシャット(3年)を13得点に抑えたように、ディフェンスでの貢献も大きかった。
 
「(留学生とのマッチアップは)自分にとっては苦しいディフェンスだったと思うのですが、スピードのミスマッチなど、自分でも勝てるところがあると思ったので、そこをしっかりやっていけたかなと思います」と深津は決勝での戦いを語った。

 そのプレーもさることながら、何より見るものを惹きつけたのは、試合中の笑顔だろう。

「苦しい時でも笑った方が楽しいと思うし、(稲垣)愛コーチが『最後の大会だから楽しんでやっていきなさい』と言って送り出してくれたので、それに応えたい、ずっと笑顔でいたいなと思っていました」と、笑顔の理由を教えてくれた。

 昨年8月に開催された全国中学校大会でも優勝を果たしたが、「その時はまだ自分に自信が持てなかったけれど、今大会では自信を持ってプレーをできました。だから夏より笑顔が増えたかなと思っています」と深津。

 大会に臨むにあたり、姉の彩生(愛知学泉大3年)からは「思い切ってプレーするように」とアドバイスを受けたそうで、兄の章太(近畿大学1年)も含め、「兄と姉は自分では思い付かなかったようなアドバイスをくれます。それを実行すると本当にうまくできるので、大きな存在です」と笑顔を見せた。

 世界で通用するプレーヤーになりたいと目を輝かせる深津。四日市メリノール学院が誇るエースは、家族や仲間への感謝の思いを胸に、どんな時でも笑顔で戦い抜き、最高の結果で中学3年間を締めくくった。

「チームを信頼して、コーチを信じ続けてやってきた」ことが自信につながったという [写真]=バスケットボールキング

文=田島早苗