2022.08.26

1対1で強さを見せた樟蔭の点取屋・金澤杏…期待に応える働きで全中準優勝へとけん引

フリーライター

 8月21日〜23日の期間で行われた「第52回全国中学校大会」。その中で、高い得点能力を発揮したのが女子準優勝となった樟蔭中学校(大阪府)の金澤杏(3年)だ。

 予選リーグから決勝戦まで、計6試合の平均得点は26.7点。特に本人も以前から大好きなプレーだという1対1では、巧みなドリブルワークから面白いようにディフェンスをかわし、次々とシュートを決めていった。

 日頃からチーム練習で行っているドリルも1対1のスキルを磨くためのプラスになっているとのこと。また、YouTubeなどで千葉ジェッツ大倉颯太の映像を見て参考にしているそうだ。

 大阪対決となった大阪薫英女学院中学校との準決勝では34得点を奪取。3ポイントシュートも的確に沈めるなど、追いかける大阪薫英女学院の反撃の芽をことごとく摘んだのは、金澤の得点だったといえる。

 この樟蔭の絶対的エースに対し、決勝では相手の四日市メリノール学院中学校(三重県)も2人の選手が交代しながらフェイスガードで執拗にマーク。金澤もボールを持つことができず、思うような攻めをさせてもらえなかったが、本人は「逆にうれしかったです」と目を細める。

 また、「5対5より4対4の方がディフェンスのカバーも少なくて攻めやすいし、樟蔭は自分だけじゃなくほかの4人や控えの選手も全員が攻めるので、みんなにオフェンスを任せていました。そうしたら自分のマークも緩くなってきたので、ボールを持ったときは果敢にリングに向かうようにしました」とコメント。試合中は冷静に状況を判断できていたと振り返った。

金澤は、主に得点面でチームを盛り立てた[写真]=田島早苗

 決勝戦は、全6試合の中では一番得点が少なかったものの、それでも3ポイントシュート3本を含む19得点。ハードなディフェンスが持ち味の四日市メリノール学院を相手に怯むことなく、強気で攻め続けた。

 最後は66―68と接戦の末に敗れて準優勝だったが、試合後の樟蔭の選手たちは、笑顔が弾けていた。

「私たち、予選がサブアリーナでの試合だったので、目標が『脱サブアリーナ』だったんです。だから、勝ってここまで来ることができたのがうれしいしです」と理由を語った金澤。彼女もまた、達成感に満ちあふれた表情を見せていた。

 あこがれの選手は中学校の先輩でもある大阪薫英女学院高校(大阪府)の木本桃子&桜子(2年)。今年のインターハイでも活躍した木本ツインズのように、「高校でもどこでも、全国で通用するような選手になっていきたいです」と、目を輝かせながら今後の目標を語っていた。

取材・文・写真=田島早苗