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「この一戦はとても大事な試合だったので、まずは自分が(シュートを)決めて、チームに勢いを付けようと思って攻めました」
8月22日から決勝トーナメントに入った「第52回全国中学校大会」の男子準々決勝で、豊野中学校(埼玉県)に勝利した四日市メリノール学院中学校(三重県)の榎木璃旺(3年)は、こう試合を振り返った。
東海覇者の四日市メリノール学院と関東を制した豊野とがベスト4進出をかけて激突したこの試合、四日市メリノール学院は出だしにその榎木が得点を挙げると、その後もスピードに乗ったオフェンスを展開する。だが、豊野も内外とバランス良くシュートを決めて一歩も引かず。第1クォーターは24―20と、四日市メリノール学院がわずか4点リードで終えた。
しかし、第2クォーターに入ると四日市メリノール学院が一気に加速。このクォーターだけで14点差を付け、前半を終えて51−33と大きくリードを奪う。
それでも、高いチーム力を発揮する豊野は、後半に猛追。一時は点差を1ケタに詰めて、あわやのところまで追い込んだが、最後まで勝負強くシュートを沈めた四日市メリノール学院が豊野を振り切り、最後は88−74で準決勝進出を決めた。
「正直、ホッとしています」と試合を振り返ったのはキャプテンで司令塔の榎木。その思いを「自分たちの目標は優勝なので、ベスト4に入って、スタート地点に立ったような感じだと思っています」と語ってくれた。
四日市メリノール学院は、前回大会に続いて出場となったが、前回は決勝トーナメント1回戦で敗退。一方、すでに「Jr.ウインターカップ2020-21」でも優勝していた女子は、同大会で見事、『全中初優勝』を達成した。
仲間の優勝に喜びながらも、そのときの心境を「女子が優勝して、悔しい思いもありました。でも、逆にその悔しい思いをパワーに変えて毎日練習を頑張ってきました」と榎木は言う。それだけに、最後の全中に懸ける思いは強い。
1対1の能力にも優れる榎木は、豊野戦では19得点。加えて、「まずは周りの選手が点を取ることを考えていて、それで、周りが点を取れなくなったときに、自分が取りに行くようにしています」と、ガードとして的確なパスで仲間のシュートを演出し、10アシストをマークした。
「試合の状況を見ながら、プレーを変えているところを参考にしています」という理由からNBAのジェイソン・テイタム(ボストン・セルティックス)のプレーにヒントを得ているという榎木。
「明日も、点を取れるところでは自分が点を取りながら、味方も点が取れるように心がけていきたいです」と準決勝以降での戦い方もブレることはない。
取材・文・写真=田島早苗