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3月3日に日環アリーナ栃木で行われた「2024 bjカップ U15 in TOCHIGI」の男子決勝戦、勝利を手繰り寄せたのは福島ファイヤーボンズU15の背番号8だった。
大会初優勝をかけた京都Dreamersとの一戦は、序盤から互角の展開が繰り広げられた。しかし、第3クォーター終了時点で福島が6点リードを奪う。同クォーター終盤に貴重な3ポイントシュートを決めた緑川晴斗は、最終クォーターにも立ち上がりに思い切りのいいシュートで連続3ポイントをマーク。チームに勢いを与えると、試合終盤にはこの日4本目となる長距離砲を射抜いて優勝を決定づけた。
最終スコアは82-75。第4クォーターだけで12得点を挙げる活躍を見せた緑川は、試合を通してチーム最多となる27得点。福島をbjカップ初優勝へ導き、大会MVPにも選出された。決勝戦後は「素直にうれしいです」と短く感想を述べ、自身のパフォーマンスをこう振り返った。
「決勝は前半からシュートがあまり入らなくて、3クォーターが始まってすぐに足をつってしまいました。けど、4クォーターでは打ったシュートが入ったのでそのまま自信を持って打ち続けました」
「自分はどのポジションでも守ることができます」。京都との最終戦では勝負強い3ポイントが際立ったが、180センチの緑川の強みはオールラウンドにプレーできることだ。悪い流れを断ち切る役目も担い、安藤太郎ヘッドコーチは「今日はシュートがよく入りましたけど、いつもはマルチなプレーを期待して起用しています」と緑川について話す。
先発ポイントガードの長谷川鈴も緑川に大きな信頼を寄せており、「3ポイントもドライブもできるオールラウンダーです。一緒にバスケをしていて楽しいですし、試合中もとても頼りになります」とコメント。長谷川によれば、緑川はチームのムードメーカー的存在でもあるようだ。「晴斗くんはよく面白いことを言ってますし、コートの外ではギャグとかも言います」。
大会MVPに優勝できた要因を尋ねると、「チーム全体でディフェンスでハッスルできたことだと思います。スティールを奪ったりルーズボール争いを頑張ってブレイクをたくさん出したりできたことで、自分たちの流れになったと思います」と述べた。
目標に掲げる選手の1人は、琉球ゴールデンキングスでプレーする今村佳太だ。「クラッチタイムで3ポイントを決めることができて、接戦の場面でも自信を持ってドライブにいけるところが好きです」と明かした緑川は、「今村選手に近づけるように、3ポイントやアシスト、ゴール下のフィニッシュ力なども高めていきたいです」とも口にした。
「まずはU15の大会(チャンピオンシップ)で優勝すること。そして高校に行っても活躍できるように頑張りたいです」。日本代表にも名を連ねる今村のように、緑川は国内トップクラスのウィングプレーヤーを目指してひたむきに走り続ける。
文=小沼克年