2019.09.04
バスケットボール日本代表として活躍し、引退後は古巣の熊谷組、大和証券、日立(現サンロッカーズ渋谷)、日本代表などでヘッドコーチを歴任。現在は早稲田大学スポーツ科学学術院教授を務める倉石平氏に、「FIBAバスケットボールワールドカップ2019」で日本代表と戦う対戦国について話をうかがった。倉石氏は日本と1次ラウンド同組に入り、第2戦で対戦するチェコをどう見ているのか。そして、日本はどう勝機を見出すべきなのか。独自の見解を聞いた。
インタビュー・構成=小沼克年
チェコはインサイドが強く、201センチでポイントガードを務めるトーマス・サトランスキーとビッグマンのヤン・ヴェセリ―(213センチ)が2大エースです。しかし、今大会はヴェセリ―がメンバー外となり、初戦で対戦したトルコよりも力は落ちると考えています。日本にも勝てるチャンスがありますし、2次ラウンドに進むためにも勝利は大前提です。
ディフェンスはマンツーマンで仕掛けられると考えていますが、問題はポイントガードのサトランスキーを誰が、そしてどのようマークするのか。個人的には馬場雄大(アルバルク東京)が一番マッチしていると思います。彼だったら身長もスピードもありますし、フィジカル的にも勝負できるのではと踏んでいます。
あとはオンジェイ・バルビンという217センチのセンターが気になります。この選手に対して日本のインサイド陣がどこまで対抗できるかもポイント。リバウンドもそうですし、こちらから仕掛けることも重要なると思っています。
得点の部分では、トルコ戦より緊張などが薄らぐと思いますので取れると踏んでいます。しかし、勝利するためには80点以上取れなかったら厳しいかもしれません。60、70点であれば、ヨーロッパのチームですから接戦の経験値が大きく異なりますし、チェコの方が優位と言わざるを得ません。
日本は普段どおりボールムーブを速くしてリズムをつかみ、八村塁(ワシントン・ウィザーズ)と渡邊雄太(メンフィス・グリズリーズ)にいい形でシュートを打たせて得点を奪いたいです。トルコ戦のような徹底マークも予想されますが、トルコ戦の反省を踏まえて修正を加えるとともに、ニック・ファジーカス(川崎ブレイブサンダース)の調子も上がっていますので“ビック3”の揃い踏みに期待です。
八村、渡邊以外で期待したいのは、馬場、比江島慎(宇都宮ブレックス)、田中大貴(A東京)、そしてファジーカスです。このプレーヤーらが自身の持ち味を表現すればチームも盛りあがり、従来の日本が表現できると思っています。中でも比江島は初戦で無得点でしたが、最初のシュートが決まると、おそらく2ケタは取ってくれるので奮起してくれることを期待したいです。
チェコも初戦を落としていますが、対戦相手がアメリカでした。盛りあがりには欠けますが、それほどのショックはないかもしれません。日本は40分間攻守において、“しつこさ”で負けてはいけません。
サトランスキーとヤロミール・ボハチクによる2ガード陣の得点力は脅威ですし、どのように仕掛けるかが勝利するために不可欠要素。サトランスキーのゲームメイク、ディフェンスを崩す能力は「さすがNBA選手」と感じさせます。彼にはファウルを恐れないくらいの強気のプレッシャーでコントロールをさせない、そしてキャッチアンドショットがうまいボハチクにはボールを触らせたくないです。インサイドに君臨するバルビンのパワープレー、リバウンドも警戒しなければいけません。
また、日本はチェコの1-2-1-1のゾーンプレス、そしてゾーンディフェンスに対応することも重要。ただこの仕掛けは一線を越えればイージーなシュートにつなげられるので、慌てないことが第一です。
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