2022.04.21
前日の敗戦を受けて再び中国との対戦となった日本は、106−73と大敗を喫し「FIBA バスケットボールワールドカップ2023 アジア地区予選」Window1を連敗という形で終えた。
今回、新たに日本男子代表指揮官に就任したトム・ホーバスは、東京オリンピックに出場した5選手を招集したが、いずれも目立った活躍を見せることはできなかった。
SGとしてリングへのアタック、そして3ポイントシュートとインサイド、アウトサイドの両面からの得点を期待されている比江島慎(宇都宮ブレックス)もその一人だ。今回の仙台での2試合でも、先発で起用されながら良さを出すのに苦戦した印象だった。
前日の試合でファウルトラブルに陥り、ターンオーバーも犯していた比江島は、2戦目は出だしからソフトに入ってしまった。そのため前半での起用は2分にも満たず、ハーフタイム中にはホーバスHCからコート上でのエネルギーの足りなさを直接指摘されたという。
そのため後半にはよりギアを上げ、得意とするドライブインからのレイアップなどで6得点を挙げた。アシストも3本記録した。そのパフォーマンスについてホーバスHCも「後半は良かった」と及第点を与えた。
試合後、比江島自身も前半に起用が極端に少なくなった理由をベンチで考えたと話した。
「スタメンで出て、それから(前半は)出場時間がなかったので、自分で何が悪かったのかを反省しました。ハーフタイムにエネルギー足りないという指摘も直接あったので、ファウルをしてもいいというか、ディフェンスで自分からプレッシャーをかけて、まずそこからリズム作ろうと思いました。そして自分の仕事はドライブからペイントタッチをすることだというのを心がけて切り替えました」
彼だけが不調だったわけではない。2試合を通して日本チームで真に光った選手は皆無だったと言えた。それでも、2試合を通して見返せば、やはり彼ならもっとできたはずだという思いは消えない。
彼には「比江島ステップ」と呼ばれる独特のテンポでリングにアタックできる稀有なスキルがある。東京オリンピックでもその良さを生かして一定程度の成果を挙げ、自身も一時は失いかけていた自信を取り戻していたところだった。
しかし、所属の宇都宮で見せるようなピック&ロールからのドライブの場面を、少なくともこの中国との2試合で見ることはほとんどできなかった。
もちろんそれは、選手がアウトサイドに陣取り選手たちが連動して動き、パスを回しながらズレを作ってオープンな者を探すというスタイルに、比江島を含めた今回の代表選手の大半が順応できていないというのがあるだろう。
東京オリンピックで同HCはこのやり方で日本女子代表を五輪初の銀メダルに導き、これを男子でも導入しようと試みている。が、言うは易く行うは難しで、これを選手たちが自分たちのものとするには時間がかかるのだ。
比江島も「おそらくこれは誰もやったことのないスタイルで習得するのは難しいというのはあった」と認める。その中でも、中国との2戦目の後半で垣間見せたパフォーマンスを指して「その中で良い部分は出てきた」と前を向いた。
だが一方で、ホーバスHCの目は比江島にドライブが出た、出ないといった、いわば今後、練習と時間を経て改善されていくであろうものよりも、代表で長くプレーするベテラン選手としてチームを牽引する熱力があるかどうかに向いているようだった。
「比江島のバスケのことはよくわかっています」。
こう述べたホーバスHCは、こう言葉を紡いだ。
「それよりもトップレベルの選手としてもうちょっとリーダーシップを出してほしいです。このチームには若い選手がいますから、リーダーシップもプレーで見せるだけじゃなくて、声とかアドバイスを与えるといったところでも見せてほしい。リーダーならばオフェンスだけじゃなくて、ディフェンスでもエネルギーを示すことが必要です。今日はやっと後半にそれが出始めました」
それを受けて比江島は、こう答えた。
「自分なりに思ったことだったりアドバイスとかは前に比べたらしているつもりだが、トムさんから見て足りないと感じているならばもっとやるべきだし、自分も今回に関してはトムさんのスタイルに合わせるのが一杯一杯で余裕がない状態でした。でも次はある程度スタイルもわかっているので、アドバイスできるところがあれば若い選手たちにしていきたいです」
悩めるスラッシャー、比江島が代表で再び、光を放つ場面は訪れるのか。来年2月のWindow2でもし彼が再招集されるならば、この男から目は当然、離せない。
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