2023.04.06
東海大学の金近廉は、2023年の大学バスケ界を代表する1人だ。もし今、彼がBリーグの舞台に足を踏み入れたとしても、出場時間はどうであろうとどのチームでも毎試合のように起用されるだろう。
本人は「FIBAバスケットボールワールドカップ2023 アジア地区予選」Window6の直前合宿を通してプロとの差を感じているようだ。しかし金近は複数のポジションをこなすことができ、そのユーティリティ性が一番の魅力だと言える。
196センチの上背がありながら、得意なプレーは「3ポイントシュート」。高校の頃から金近はそう主張していた。関西大学北陽高校時代はその持ち前のシュート力に加え、時には留学生相手にも軽々とブロックショットを浴びせて攻防を引っ張ってきた。高校生活最後の大会となった「SoftBank ウインターカップ2020 令和2年度 第73回全国高等学校バスケットボール選手権大会」では2回戦で姿を消したが、金近は福岡大学附属大濠高校との試合で34得点12リバウンド10アシストのマーク。高校バスケ界をけん引する強豪相手にトリプルダブルを達成したことからも、状況に応じてあらゆるプレーを選択できるという万能性を証明できるだろう。
金近はU16、U19の日本代表のメンバーとして国際舞台に立った実績もあり、現在所属する東海大でも入学当初からチームの中心を担っている。記憶に新しいのが、個人として初の日本一を経験した昨年の「第74回全日本大学バスケットボール選手権大会(インカレ)」だ。この大会で、東海大の背番号13は得点王と優秀選手賞を受賞。自分よりも体格で勝る相手センターを抑え込むディフェンス力も見せつけ、見事に優勝の立役者となった。
大学での直近2年間はインサイドを主戦場とすることが多かったが、金近の本来のポジションはスモールフォワードである。入学当初はウイングポジションでの守備、ピック&ロールの使い方にまだ慣れていないと話していたが、現在はその課題も克服へと近づいているだろう。
金近廉の実力がより多くのバスケファンに明らかになる場所が、今回のワールドカップ予選になるかもしれない。そう想像するだけでも非常に楽しみである。
文=小沼克年
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