2023.02.22

【日本代表追加招集選手を徹底紹介②】市川真人「最も“謎”に包まれた発展途上の大器」

デベロップメントキャンプから“昇格”する形で合宿に参加した市川[写真提供]=日本バスケットボール協会
フリーライター

 今回、ディベロップメントキャンプから「FIBAバスケットボールワールドカップ2023 アジア地区予選」Window6に向けた日本代表の直前合宿へ追加招集された若手4選手の中で、最も謎に包まれているのは市川真人白鷗大学)だろう。“謎”と言ってもミステリアスという意味ではなく、情報の露出が少ないということだ。

 市川は磐田市立南部中学校3年生の時にU16の日本代表候補に選ばれている。当時JBAから発表されたメンバー表に記載されている身長は「200センチ」。15歳の頃から貴重な日本人ビッグマンとして期待されてきた市川は、2メートルを超える身長がありながらシュートエリアが広く、今では3ポイントシュートも躊躇なく打てる。

 静岡学園高校での3年間は一度もインターハイ、ウインターカップという全国大会への出場は叶わなかった。しかし市川は、高校3年の8月に3×3のU18日本代表に選出。マレーシアで開催された「FIBA 3×3 U18アジアカップ2019」に挑み、5戦負けなしの成績で優勝を成し遂げた経歴の持ち主でもある。

白鷗大学においてもその将来に大きな期待を寄せられている[写真]=小沼克年


 その後は高校生でU22のスプリングキャンプにも招集され、進んだ大学は関東1部の白鷗大。2021年の「全日本大学バスケットボール選手権大会」(インカレ)では初の日本一に輝き、昨年はインカレ準優勝に泣いたが、「関東大学バスケットボールリーグ戦」を初制覇した大学の強豪チームだ。だが、市川の大学でのキャリアに目を向ければ、十分なプレータイムを与えられているわけではない。昨季のリーグ戦でも全26試合中13試合の出場にとどまり、1試合あたりの出場時間も10分に満たないことが殆どであった。

 それでも、白鷗大を指揮する網野友雄ヘッドコーチは市川の将来性を評価しており、入学当時は「まだディフェンスでの足がついてこない部分はありますけど、持っている能力はすごく高いです。将来性もある選手なのでこれからの成長を見守りながら起用していきたい」と話していた。

 3ポイントを踏まえた器用さが最大の売りと言えるが、リバウンドやスクリナーなど献身的な部分でもチームの助けとなれる点も市川の魅力である。トム・ホーバスHCからのチャンスを見事につかむことができれば、発展途上のビッグマンがまた新たな才能を開花させるかもしれない。

文=小沼克年

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