2024.11.05
昨夏開催されたパリオリンピックのバスケットボール男子日本代表に最年少で選ばれたジェイコブス晶が、ハワイ大学で2年目のシーズンに挑んでいる。
オリンピックでは3試合すべてに出場。同大会で銀メダルを獲得したフランスとの対戦では5分19秒の出場ながら3リバウンドと奮闘を見せた。ハワイ大でも2年生の今シーズンは中心選手の一人として存在する。
一歩一歩直実に前進しているジェイコブスに2025年を迎えた元旦、大学や日本代表などについて聞いた。前編ではパリオリンピックを中心に日本代表について話してくれた。
取材・文=山脇明子
――20歳で経験したオリンピックについて聞かせてください。最高級の世界大会を経験して、何か発見はありましたか?
ジェイコブス みんなバスケが上手いということかな(笑)。それと同時に日本は他の国とそこまで差がない、変わらないっていうのもすごく思いましたね。みんな上手いというのは、フランスでもアメリカでも日本でもみんな誰でも戦えるということで、だから僕もそのレベルでプレーできると思います。もちろんフィジカルとかスピード、身体能力など、いろいろ学ばなきゃいけないこともたくさんあるんですけど、自分にできないことはないと思いました。
――やはりオリンピックでは、フランス戦が一番印象に残ってますか?
ジェイコブス そうですね。世界のトップクラスのフランスに勝てたぐらいの試合で、悔しさもすごくあるんですけど、やはりあの戦いはすごく残っています。
――フランス戦後に河村勇輝選手(メンフィス・グリズリーズ)と一緒にコートをあとにしました。あのとき、どういう気持ちで河村選手のそばにいたのですか?
ジェイコブス 勇輝はあの試合すごく頑張って、足をケガした中、世界に印象づけるすごい活躍をしました。彼の頑張りを見ていてすごく感動しました。結局負けてしまって、痛みもあったと思うし、悔しい思いがすごくあったと思います。だから友達として、チームメートとして、そばにいたいと思いました。ああいう負け方をしてしまって、選手としてはやはりネガティブになってしまうところもあると思うので、僕にできるだけのことをしてあげたかったです。そばにいるだけだったんですけど。
それにしてもすごかったな。今もNBAで頑張っていてすごいけど。彼のことは、いつもチェックしています。
――今の河村選手の活躍をどのように見ていますか?
ジェイコブス 日本の(ファンの)人たちと同じように僕は彼の活躍を見てきたので(できると)信じていました。世界規模の大会で活躍し、NBAの舞台でも頑張って、多くの人が彼のことを知りはじめました。ハワイ大のチームメートにも「こんなに上手かったんだ」みたいなことを言われるんですけど、「僕はもう知ってたよ」と返します (笑)。チームメートも(河村の試合の)次の日は勇輝のことを話します。コーチも選手もすごく見てるし、みんなすごく彼のことを応援しています。
――同じフランス戦での渡邉飛勇選手(信州ブレイブウォリアーズ)のルディ・ゴベア選手(ミネソタ・ティンバーウルブズ)へのブロック、どう思いましたか。
ジェイコブス すごかったです。合宿中も僕、彼にめちゃくちゃダンクをブロックされていました。(相手が)ダンクに行くときは、絶対ブロックに行くっていうのを飛勇はものすごく頑張っていて、すごくメンタルが強い。あのクラッチでのブロック、めちゃくちゃ盛り上がりましたね。
――八村塁選手(ロサンゼルス・レイカーズ)、渡邊雄太選手(千葉ジェッツ)とチームメートでした。練習でマッチアップもしたのでしょうか?
ジェイコブス 僕はほとんど4番で、たまに3番だったので、渡邊さんと八村さんにしかついてないみたいな感じでした。だからすごく楽しかったです。最初はめちゃくちゃやられてました。それはわかっていたことなんですけど、どんどんやっていく中で「こうやってやればもう少しできるかな」とか勉強になりました。動き方が違うので。二人とも僕と同じぐらいの身長でスピードもあるし、ファーストステップが速いというのが一番印象に残っています。
――代表にはジョシュ・ホーキンソン選手(サンロッカーズ渋谷)もいましたし、勉強になる選手がいっぱいいましたね。
ジェイコブス はい、できるだけみんなと話してアドバイスをもらおうとしていました。僕より何年もバスケをやっている選手が目の前の話せるところにいたので、いろいろ経験して、できるだけ彼らから学ぼうとしていました。
――一度A代表になったら、ずっとここでやりたいという思いはもっと強くなりますか?
ジェイコブス そうですね。(代表)チームにいて、思ったよりプレータイムをもらえましたが短い時間だったので、代表のために活躍できるところまではいきませんでした。まだ僕はそこまで役には立っていないというのもすごく感じました。チームで一番若いというのもあったんですけど、(河村)勇輝でも僕とそんなに年が変わらなくてもメインでやっていたので、僕はチームにいたけど、まだ何もやっていないというマインドセットが必要です。100パーセント代表チームに戻れると決まっているわけではないので、入っただけで満足してはいけません。チームに入る前の努力をこれまで以上にしなきゃいけない。あとチームはすごく頑張ったんですけど、結局勝てなかったので、日本が試合に勝つために自分ももっと頑張らなきゃいけないと思いました。
僕はディベロップメントキャンプにも参加しましたが、キャンプに参加していた選手たちは、誰でも代表に入れるぐらいの人たちです。みんな代表入りを目指して同じように頑張っているので、自分もまだまだレベルアップしなきゃいけないですし、みんな友達だけど、やはりライバルです。競争はもっと厳しくなると思うので、細かいところをもっと上手くならなきゃいけません。そういうことができる選手が一番高いレベルに行くのだと思います。いつかみんなで一緒に(A代表で)プレーしたいと思いますが、一緒にプレーしている中でも一番になりたいです。
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