2時間前

ジェイコブス晶インタビュー【後編】「チャレンジを続けてすべてのポジションを守れる選手になりたい」

2年生になったこともあり、ハワイ大の主力としてプレーするジェイコブス晶 [写真]=山脇明子
ロサンゼルス在住ライター

昨夏開催されたパリオリンピックのバスケットボール男子日本代表に最年少で選ばれたジェイコブス晶が、ハワイ大学で2年目のシーズンに挑んでいる。

オリンピックでは3試合すべてに出場。同大会で銀メダルを獲得したフランスとの対戦では5分19秒の出場ながら3リバウンドと奮闘を見せた。ハワイ大でも2年生の今シーズンは中心選手の一人として存在する。

一歩一歩直実に前進しているジェイコブスに2025年を迎えた元旦、大学や日本代表などについて聞いた。後編ではハワイ大学での生活、そして現在のバスケ環境について話してくれた。

取材・文=山脇明子

他競技でトップを目指す仲間たちと切磋琢磨

――ハワイ大のことを聞かせてください。同大では、野球部に武元一輝(たけもと・いつき/智辯学園和歌山高校出身)選手がいますね。二刀流で頑張っていて、昨夏はMLBドラフト候補選手の集まりと言われるサマーリーグのケープコッドリーグで最優秀投手に輝きました。武元選手とは仲がいいと聞きましたが。
ジェイコブス 一輝は最初の学期で同じクラスだったので、すぐに話すようになりました。他のスポーツでも日本人のアスリートがいて、アメリカンフットボールにも(松澤)寛政(まつざわ・かんせい/幕張総合高校サッカー部出身)がいます。あとテニスやサッカーでも日本人ですごく頑張ってる人たちがいて、みんな仲がいいです。一輝は同い年で誕生日も1週間ぐらいの違いです。彼は野球の才能がすごくあって(大きな目標を持って)同じ気持ちで頑張っているので、お互いにわかり合っていい話もできます。寛政も同じです。アメリカでは活躍している日本人がほとんどいないので、寛政がそこで頑張ろうとしています。他の仲間もそうです。みんなで頑張ろうという気持ちがお互いにすごくあります。

同じハワイ大で活躍する武元一輝(左)と松澤寛政(右) [写真]=University of Hawaii Athletics


――同じバスケ部では、伊久江ロイ選手が入ってきました。今シーズンは右膝前十字靭帯断裂でレッドシャツになってしまいましたが、自らと同じように日本で頑張っていた選手がいるというのはいかがですか?
ジェイコブス すごくうれしいです。彼はハワイに来る前から知っている友達なので、一緒にいて楽しいです。いろんなことを話せるし、僕と彼にしかわからないこともいっぱいあるので。(来シーズン)一緒にプレーするのを楽しみにしています。

――同じ大学で頑張る日本人アスリート仲間の存在は、モチベーションになりますか?
ジェイコブス はい。僕はアメリカに住んでいたし、アメリカでの経験があるんですけど、ほとんどの人たちは日本から、そんなに英語を話せない状況からアスリートとして上を目指してきています。それはすごく感動的だと思うし、みんなすごく頑張っているので、そういう彼らとはこれからも仲良くやっていきたいです。

試合で緊張しなくなったのはホーバスHCのアドバイス

――バスケの話題に戻しましょう。将来を期待されて起用されていた1年生の昨シーズンから、今シーズンはチームの中心選手となりました。
ジェイコブス 昨シーズンよりは良くなっていると思いますが、まだまだ足りない部分が多く、伸ばしていかければならないないところがたくさんあるので、自分がいきたいところにはまだいません。特にディフェンスは、できている試合とできていない試合の差が大きすぎる。もう少し一貫性をもってやりたいです。ミスはできるだけしたくはないんですけど、チャレンジするならできるだけ早い方がいいので、今こういうミスをして、いろいろ学んで3~4年目や(目標である)プロに行ったときにちゃんとできるようにしたいですし、いい経験としてとらえています。

――シーズン序盤、ノースカロライナ大学と対戦したときには、3本の3ポイントを決めて13得点するなど活躍しました。あの結果は自信につながりましたか?
ジェイコブス そうですね。自分の中では、まだもう少しできたと思うんですけど、観客も今までで一番入っていましたし、ハワイに来てから一番楽しい試合でした。ノースカロライナ大という強豪が相手でも自分はできると思っていましたが、実際にできたことで自信になりました。

ジェイコブス選手は、ビッグモーメントのようなビッグゲームであっても、それほど緊張していないように見えました。
ジェイコブス オリンピックで、日本代表として活動している間に緊張しなくなりました。ハワイ大での昨シーズンは、特に最初の方は、試合に出るときちょっと緊張していましたけど、トム(ホーバスヘッドコーチ)さんに「試合で緊張する意味がない」みたいなことを言われました(笑)。「練習でいつも自分でやってることをやれば活躍できる。特に何か考えなくてもいい」と言われて、そこから全然緊張しなくなりました。

――プレシーズンからシーズン開幕後の数試合はスターターでしたが、その後リザーブに回りました。それでも戦力として起用されていることに変わりありません。
ジェイコブス 自分がもっと活躍できていたらスタメンに残っていたと思います。でもまだ活躍のチャンスをもらえているので、出場したときに貢献できるように努めています。(悔しさは)もちろんあります。今の(自分の)スタッツを見れば、もっとできるというのがありますし、もう少しバランスを良くしたいです。いい試合ができたあと、次の試合が良くないというのが多すぎます。ノースカロライナ大戦の次の試合もすごく悪くて。そういうところを直さなければなりません。

安定したパフォーマンスを発揮することも課題の一つという [写真]=University of Hawaii Athletics

――ハワイ大では主に3番(スモールフォワード)を任されているようですね。
ジェイコブス ウイングガードというプレーが自分にも合っていると思うし、将来プロとしてもウイングでプレーしたいと思ってるので、オフェンスでもディフェンスでも自分の成長のためにもすごくいいと思っています。ただガードだとスクリーンをされることが多くて。ボールスクリーンを避けるとか、読みとか、速いガードに抜けられないようにすることが課題です。

 代表では4番(パワーフォワード)をやっていたのでフィジカルのところはすごく良くなっていると思います。今シーズンは、(動きの)速い相手にしっかり対応するということに集中していきます。フィジカルが強くなったところで、今度はスピードを上げていったら、完璧な3番になれると思うし、3番の選手をディフェンドできるようになったら、今度は1番(ポイントガード)でも2番(シューティングガード)でもディフェンドできるようになりたい。1から5番(センター)全部、スイッチされても守れるようになりたいです。

ジェイコブス 晶の関連記事