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白鷗大学、インカレ初制覇。大学バスケ界に新たな歴史が刻まれた。12月6日に開幕した「第73回全日本大学バスケットボール選手権大会」(インカレ)で創部初の決勝進出を果たした白鷗大。チームはその勢いのまま東海大学との男子決勝戦にも勝利し、悲願の頂点に立った。
前半を終えて22-30。第3クォーターを終えても点差を詰め切ることができず41-48と不利な状況に立たされていた。しかし、今の白鷗大には絶対に大崩れしない堅い守備、忍耐力、粘り強さがある。試合序盤からコートとベンチから幾度となく聞こえたのは「我慢」という言葉。代々木競技場第二体育館の2階応援席に陣取ったチーム関係者を含めた全員で我慢し続け、反撃のときを待った。そして、最終クォーターも中盤に差し掛かった頃、ついにオフェンスにもリズムが生まれだした。
試合終了残り5分53秒、ブラ グロリダ(4年)がインサイドでファウルを受けながらもシュートを沈め48-52。次の攻撃でも角田太輝(4年)のアシストにグロリダが合わせて2点差とし、松下裕汰(4年)も冷静にジャンプシュートを射抜いて一気に同点に追いついた。
白鷗大は相手の攻撃を防ぎ続けると、河村勇輝(2年)をマークしていた松下がスティールから自らレイアップを決めて逆転。残り2分53秒には杉山裕介(3年)が貴重な3ポイントシュートを決め、この時点で7点リードを作った。その後も関屋心(3年)の突破から小室昂大(4年)の得点を挙げてリードを保ち、4点差で向けた残り55秒には松下が倒れ込みながらもジャンプシュートをねじ込んだ。
一気に追い込まれたのは東海大。それでも、河村、大倉颯太(4年)が起点となり最終盤で3点差まで詰め、最後の攻撃ではエース・大倉の1on1に託した。同点の3ポイントを狙った大倉。ポンプフェイクでミサカボ・ベニ(3年)をかわしてシュート体勢に入ったが、ベニと接触しファウルをアピール。しかし笛は鳴らず、プレーを続けた相手の速攻を見届ける形となってしまった。最終スコア63-58。東海大の連覇が消え、白鷗大が初の日本一に辿り着いた。
「ヤンチャ」「雑草」「激シブ」「無名」……。
中学・高校時代から華々しいキャリアを積んできた選手たちが集う東海大や筑波大が「スター集団」などと呼ばれる一方で、これまでの白鷗大はそんな愛称で表現されてきたチームだ。
現在の4年生が1年の時に指揮官に就いた網野友雄ヘッドコーチも「確かに高校時代のキャリアを見ると、ほかの大学の選手とは見劣りするところがある」と認める。けれど、「選手としての能力、努力をし続ける人間性は高いレベルを持っています」「中から見ている僕からすると純粋。すごく素直でバスケットが大好きな選手たちだと日々感じています」などと選手たちの良さを明かす。
キャプテンの松下によれば、今回のインカレ優勝がチーム全員にとってキャリア初の日本一だという。その松下は、決勝戦では18得点を挙げて最優秀選手を受賞。試合後は、コート上で見せていたキリッとした表情とは打って変わり全身から脱力感が漂っており、言葉を絞り出すようにコメントの残してくれた。
「いやぁー、MVPは自分がもらったんですけど、チームのみんながくれたのかなと思います。夢中になりすぎてちょっと覚えてないんですけど……、自分が頼られていると思ったので、強気に攻めました」
「これがチームプレーなんだなと感じました。4年生が見せてくれたチームプレーを引き継いでいきたい」と、静かに語ったのは3年生の関屋。関屋とともに来年の白鷗大を引っ張る立場となる脇真大(2年)も「勝てたことは4年生に感謝しています」と口にした。だが、「大会を通して、自分のプレーには全く納得できてないです。もっと練習します」と個人としては悔しさが残ったようだ。
網野HCとともに日本一のチームを作り上げた4年生たちは、きらびやかな姿で引退した。これからも、白鷗大は白鷗大らしく、その図太い結束力で大学バスケ界を走り続けてほしい。
写真・文=小沼克年
【最終順位】
優勝 白鷗大学
準優勝 東海大学
3位 筑波大学
4位 専修大学
【個人賞】
最優秀選手賞 松下裕汰(白鷗大学4年)
敢闘賞 大倉颯太(東海大学4年)
優秀選手賞 ブラ グロリダ(白鷗大学4年)
角田太輝(白鷗大学4年)
八村阿蓮(東海大学4年)
二上耀(筑波大学4年)
キング開(専修大学4年)
得点王 佐土原遼(東海大学4年)
3ポイント王 山本翔太(専修大学4年)
野崎由之(専修大学4年)
アシスト王 河村勇輝(東海大学2年)
リバウンド王 ケイタ シェイクブーバガー(専修大学3年)