2021.10.21

【Wリーグ注目選手】トヨタ自動車・川井麻衣「新しい自分に出会えることが楽しい」

移籍1年目でのプレーに注目が集まる川井麻衣[写真]=トヨタ自動車アンテロープス
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 10月16日より第23回Wリーグが開幕した。東京オリンピックや女子アジアカップに出場した選手をはじめ、それぞれが頂点を目指して挑む新シーズン。バスケットボールキングでは全13チームの注目選手にインタビューを行った。

 第25回はトヨタ自動車アンテロープス川井麻衣。今シーズン、三菱電機コアラーズから移籍したポイントガードだ。パスだけでなく自らのシュートなど、攻撃力の高さを見せる川井は、並々ならぬ思いでシーズンを迎える。

「移籍の決断は簡単なことではなかった」

――はじめに、トヨタ自動車アンテロープスへ移籍した理由を教えてください。
川井 (6シーズン所属していた)三菱電機コアラーズではたくさんのことを学ばせてもらいました。だけど、自分自身の可能性を広げたい、もっと成長したいという思いから、まず移籍という決断をしました。そしてルーカス・モンデーロヘッドコーチのもとで新しいことを知り、自分自身を高めたい気持ちが強く、トヨタ自動車への入団を決めました。

 トヨタ自動車は、それまでは対戦相手でしたが、ディフェンスをしていても止めにくく、スペースの使い方が上手なので、面白いバスケットをすると思っていました。チームの約束事やサインの出し方などが変わるので、大胆に挑戦しようと思っています。

――移籍の決断に至るまでには、かなり悩んだのではないですか?
川井 最初に、移籍をするか、しないかで悩みました。昨シーズンは負けて終わり、すごく責任を感じていたので、ずっと葛藤がありました。三菱電機を出るということは簡単な決断ではなかったですね。毎日寝られないぐらい悩みました。

――いろんな思いを持って移籍を決断しましたが、実際にチームに加入してのトヨタ自動車の印象は?
川井 スピーディーなバスケットですね。私はポイントガードでいろんな選手を使う立場ですが、日本代表活動などで選手がそろう時間が少ないこともあり、今は難しさを感じています。三菱電機の場合は、私がチームのスタイルに慣れていたし、長年一緒にやっていたチームメートが多かったので互いのことが分かっている状態でした。でも、トヨタ自動車では、私がまだみんなのことをわかってないし、みんなも私のこともわかってないので、練習や試合を重ねて、信頼関係を築いていきたいです。

――大きく環境が変わりましたね。
川井 でも楽しいです! 大変だと思ったことはなくて、新しい自分に出会えるというか、新しい環境でいろんなことを学んでいる自分がいて、それに対してはすごく楽しいと感じています。

――どういった持ち味を出したいですか?
川井 今まではどちらかというとパスが多かったのですが、トヨタ自動車では、シュートを求められているので、積極的にアタックすることを意識しています。まずは自分からリングにアタックしてシュートを狙う。そこからパスに展開するといったようなプレーをしていきたいです。ディフェンスでは、三菱電機でやってきたことをしっかり出せるように。私が引っ張るぐらいに激しくやりたいです。みんなとコミュニケーションを取りながら、自分の良さを出し、ガードなので味方のことも生かしていきたいです。

トヨタ自動車アンテロープスの初戦は10月30日。山梨クィーンビーズと対戦[@川崎市とどろきアリーナ]

 

「個性豊かなチームです」
 今夏の東京オリンピックでは、5名の選手が3x3と5人制の日本代表としてオリンピックで活躍を見せたトヨタ自動車。そのため、オリンピック前や大会中は、「人がいなかったこともあって、落ち着いた感じでした」と川井は言う。だが、「代表選手たちが帰ってきたら、結構にぎやかで(笑)」とも語り、チームの印象には、「みんな個性が豊かで、スタッフの方たちも個性があります。シンさん(大神雄子アシスタントコーチ)は、選手よりも声を出してくれているので、シンさんのように声を出さないといけないと思わせてくれます」と声を弾ませた。
 川井と同様に今シーズンからトヨタ自動車に移籍した宮下希保、梅木千夏らとは夏の間、一緒に時間を過ごすことが多かったようで、さらには、「河村(美幸)さんには、ずっと仲良くしてもらっていて、今も面倒見てもらっています」と、キャプテンが積極的にコミュニケーションを取ってくれたことも教えてくれた。
「私らしく泥臭いプレーをしていきたい」と気持ちを新たにする司令塔は、新たな仲間とともに日本一を目指す。

9月のオータムカップでトヨタ自動車としてのデビューを果たした[写真]=Wリーグ

取材・文=田島早苗

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