Bリーグ公認応援番組
『B MY HERO!』
初の試みとなった「W LEAGUE U15 BASKETBALL GIRL’S CAMP」(8月12〜14日に愛知県にて開催)。キャンプでは、メインコーチであり、ファシリテーターも務めた伊集南さん(元デンソーアイリス/現在はWリーグ理事)にキャンプの感想を聞いた。
インタビュー・文=田島早苗
――どういった目的を持ってキャンプを進めていったのでしょうか。
伊集 今回は多くのWリーグOGが集まり、その中でメインコーチというには恐れ多いのですが、ファシリテーターをやらせてもらいました。数名のOGがヘッドコーチとなり、キャンプ前はヘッドコーチの方たちとともにZoomなどでミーティングを重ね、まずはキャンプでのテーマやゴールを決めさせてもらいました。ゴールを設けた後は、それに合わせてタイムスケジュールやセッションをいろいろ組み立ていきました。
今回が初回となるイベントだったので、不安もありながらの準備は大変でした。ですが、いざやってみると、私たちが導きたいと思っているところに、頑張って何かアクションを起こそうとする選手たちを見て、すごく心が震えました。
最初はなかなか発言しない内気な選手が多いのかなと思ったのですが、段々と選手同士が話をしたり、褒め合ったり、『大丈夫だよ』といった声掛けする姿も多く見受けられるようになって。選手たちが自主的に行動することが一番の成長だと思っているので、自分たちで気づいてどんどんと変えていこうとする姿勢がうれしかったですね。
――テーマは『チャンスを見つける力を磨く』。プレーでのゴールは『5対5の中でスペーシングを理解して最高のPlay(=判断)が出来るようになる』でした。
伊集 この世代は育成世代なので、バスケット以外の人間力を磨くというところ。自分が良くなっていくために、なりたい自分になるためにチャンスを見つける。そういった力をキャンプを通して養いましょうという意味が今回のテーマにはあります。例えば、同年代や講師との交流をはじめ、各セッションでどんなことに気づけるのか。いろんなところで気づきのチャンスを見つけてほしいと考えていました。
ゴールに関しては、今回はゲームで終わる予定だったため、5対5の中でスペーシングを理解して最高のプレー、つまりは良い判断ができるようになることをゴールに決めました。
それと、私たちOGの良さって、これまでの経験という付加価値が元選手たちにはあると思うんですね。だから、声掛け一つにしても『私だったらこの場面ではこういう感覚だよ』とか、コツのようなことをアドバイスする。『こうでなくてはいけない』という教え方ではなく、『私だったらこうしてたよ』みたいなアプローチを心掛けて選手たちと向き合うようにしていました。
ただ、現役時代ほどの体力がないので、中学生たちの熱意に押されて頑張るのですが、正直、夜はヘトヘトでした(笑)。それぐらい選手たちの活力に励まされましたし、これは私だけではなく、OGみんながそう言ってました。
――中学生たちに送りたいメッセージがあればお願いします。
伊集 私自身、成長するためには2つポイントがあると思っています。1つ目は人との出会いの数。たくさんの人に出会うことで、自分が知らない世界を知っている人たちと出会うことができます。そして2つ目は経験の数。たくさんの経験をしてトライ&エラーですね。失敗しながら、いろいろと学ぶことが成長につながると思っています。
人との出会いの数と経験の数は多ければ多いほど、人間力は培われていく。中学生たちは、バスケットというツールを使ってキャンプを経験をしました。それは大きいことです。様々なものに興味を持って、その中で自分がどうなりたいかを見つけていってほしいです。
――プレーに関しては?
伊集 焦ったり暗くなったりしてもいいことはないので、どんな練習でも楽しくプレーしよう。それが周りにも広がっていくよねといった思いはOGのコーチ陣みんなが強く持っていました。バスケットって本当に複雑ですし情報も多いけれど、どんなプレーしたいのか、自分の思いを大切にしてほしいと思います。好きなプレーは続けてほしいし、それを仲間にも伝えるなど、発信もし続けてほしいです。
――充実した3日間でした。
伊集 個人的にも本当にいい経験になったと感じています。ファシリテーターをやらせてもらいましたが、「もっとこうしたらよかった」とか「もっとこういうふうにすればOGの方が動きやすかったかな」とか、今後のスキルにもつながったと思います。機会があれば毎年キャンプをやりたいですし、このキャンプが選手たちに夢を与える場所になっていったらいいなと思っています。