2022.08.12
9月下旬の「FIBAワールドカップ2022」(以下ワールドカップ)を約1カ月後に控えた女子日本代表。8月11、12日の「三井不動産カップ 2022(宮城大会)」では高さのある女子ラトビア代表と対戦する。
東京オリンピック後、恩塚亨ヘッドコーチ体制となったチームは、ここまで昨秋の「FIBA女子アジアカップ2021」、2月の「FIBA 女子バスケットボールワールドカップ 2022予選」と2度の国際大会に出場。『世界のアジリティ』をテーマに掲げ、攻防ともに相手の状況に対し、臨機応変に動くスタイルを追求してきた。
そしてWリーグのシーズンを終えた5月からは本格的にワールドカップに向けた強化を図っており、6月には「三井不動産カップ2022(千葉大会)」にて女子トルコ代表と対戦。この時はチームのベースとなるシステムを共通理解とし、「相手が対応しにくいようなプレーを選択していくことを中心」(恩塚ヘッドコーチ)に戦った。
7月には「その次として、プレー中の即興力、その場に応じてコーチからの指示でもアジャストできる、あるいは選手自身でも判断してアジャストできること」に注力し、男子大学生との練習試合などで「その場に応じた適応力、アジリティが高まってきた」と、一定の手応えをつかんだ。
現在は、「その上をいき、戦術的に色々な負荷をかけてカオスな状態が起きた中でもチャンスを見つける、チャンスを作るなど、攻防の速さを鍛えています」と恩塚ヘッドコーチ。ここまでの過程を語る力強い口調からは、順調に強化が進んでいることを伺わせた。
そのような強化の確認や発揮の場となるのが三井不動産カップだ。「日本でゲームができる今シーズン最後の機会として、私たちが目指すバスケットのスタイルやバスケットに対する思いを(開催地の)仙台でしっかりと表現できるようにしたいです」と、恩塚ヘッドコーチは思いを語った。
その三井不動産カップを意義あるものにしたいと語るのは最年長の髙田真希(デンソーアイリス)同じこと。「チームの雰囲気も良くなってきているし、やるべきことも少しずつ明確になっているので無駄のない大会にしたいです」と言う。
その髙田が三井不動産カップでポイントに挙げたのがディフェンスで、「足を使ったプレッシャーディフェンスで相手のミスを誘い、そこでスティールし、一番簡単に打てるレイアップシュートへと持っていく」ことが理想の展開だと語った。加えてオフェンスではバランスの修正も施されているとのことで、トルコ戦より、「スペーシングを良くして、きれいなバスケットができるように毎日繰り返し練習しています」とも付け足した。
6月のトルコ戦から今回、新たに渡嘉敷来夢(ENEOSサンフラワーズ)、馬瓜ステファニー、山本麻衣(いずれもトヨタ自動車アンテロープス)らが加入。多少のメンバー変更を経て、ラトビア戦には15名で臨むことになる。
2月以来の日本代表活動となる渡嘉敷は、「久しぶりの試合なので自分のやるべきことをコートに表現できれば」と抱負を語る。また、6月には「FIBA 3x3 バスケットボールワールドカップ 2022」に出場し、5人制の日本代表への参加は7月からとなった馬瓜は「後から入ってきたメンバーとしてチームのシステムを理解するというのは重要だと思うので、そこをクリアして、個人的には外のシュートを自信持って打てるようになりたいです」とコメント。
一方で、アジアカップではキャプテンを務め、日本の5連覇に大きく貢献した林咲希(ENEOS)が足のケガにより参加が厳しい状況に。それでも、恩塚ヘッドコーチは、吉田舞衣(シャンソン化粧品シャンソンVマジック)、東藤なな子(トヨタ紡織サンシャインラビッツ)、平下愛佳(トヨタ自動車)の名前を挙げて、「シューティングガードの3人は、3ポイントシュートの確率が確実に上がっていて、(林の)穴を埋めると言っていいほどの成果が出ているし、本人たちもその役割を粋に感じていると思います」と期待を寄せている。
その平下はトヨタ自動車で3年目と若い選手だが、「12人のメンバーに食い込んでいきたい」と語り、18歳でチーム最年少の朝比奈あずさ(筑波大学1年)も「自分の持ち味を出して12人に入れるように」と意気込んでいる。
チームプレーはもちろん、自らの持ち味を発揮しようと挑む選手たちの熱いプレーも必見。三井不動産カップ(仙台大会)は、ワールドカップを見据えたチームにおいて、大きな意味を持つ大会となる。
文=田島早苗
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