2022.08.12

情熱を内に秘めるシューターの吉田舞衣…「オフェンスでは来たチャンスを逃さずに」

ラトビア戦で3ポイント2本を含む9得点を決めた吉田舞衣[写真]=伊藤大允
フリーライター

「うーん…一言で言えば、『良くはなかったかな』という感じです。でも、明日につながるシュートは最後に決め切ることができたので、そこだけは良かったかなと思います」

 8月11日に行われた「三井不動産カップ2022(宮城大会)女子国際強化試合」の第1戦後、女子日本代表のシューター・吉田舞衣は、自身の出来についてこうコメントした。

 試合は、女子ラトビア代表を相手に83-54と快勝。吉田自身も7分41秒の出場で3ポイントシュート2本を含む9得点をマークした。

 だが、 3ポイントシュートについては、「迷ったところはありました。相手のディフェンスに対して自分がここで今打っていいのかという感情だとか、プレッシャーではないのですが、プレータイムが限られている中で決めないといけない。決めたいという気持ちが強すぎたところもあるりました」と振り返る。

 それでも試合中、「アースさん(宮澤夕貴富士通レッドウェーブ)が『もっと打っていいよ』と声をかけてくれた」と、チームメートの声がけが気持ちを切り替えるキッカケとなったもよう。

 さらに「普段の練習でもタクさん(渡嘉敷来夢/ENEOSサンフラワーズ)やアースさんが、私がおとりになって走ったり、味方を生かすスクリーンだったりと、あまり人の目につかないプレーをしたことにも気づいてくれて、ほめてくれるというか。そういった声があると安心してシュートだけでなく、そういった部分も頑張ろうと思うことができます」と先輩たちの存在も語ってくれた。

「自分の中で『燃やして』おけばいい」

 吉田は、昨シーズン(2021ー22シーズン)のWリーグにて、1試合平均得点(レギュラーシーズン)で14.08点を挙げるなど、チームのベスト4入りに大きく貢献。ルーキー オブ ザ イヤーを獲得した。外角シュートに定評のある選手で、現在の女子日本代表でも3ポイントシュートを期待されている。

 今、チームは9月末にオーストラリアで開催される「FIBA女子バスケットボールワールドカップ2022」に向けたメンバー争いの最中。「もっと頑張らないとって毎日自分に言い聞かせています」と吉田はいう。

 その中で試合では結果を出さないといけないため、「焦りや必死さがあまり出ないと周りからは言われるのですが、自分の中ではそういう感情はないと言ったら嘘になります」と今の心境も吐露した。

 もともと、試合中は感情が表に出ないタイプだという吉田。以前は「最初は感情が伝わりやすい選手の方が必死さも伝わるし、頑張っている部分も見えやすくて、いいなと思っていました」という悩みでもあったそうだが、今は「李玉慈さん(シャンソン化粧品ヘッドコーチ)のように、そういう部分が出なくても分かってくれる人はいるので、最近はそれも自分だと思って受け止めています」という。

 感情の伝え方、情熱の燃やし方は人それぞれ。日の丸を背負って戦う選手たちの思いはみな同じだ。「自分の中で『燃やして』おけばいいかなと。やるべきことをやりたいと思っています」と内に秘める思いは強い。

 同じくラトビアと対戦する12日の第2戦に向けては、「もっとディフェンスで相手を苦しめられるように。ガードの人がプレッシャーをかけているので、2線の自分がうまく連動できるようにしていきたいです。それと、オフェンスは来たチャンスは逃さず。でも、自分のことばかりではなく、チームとして今どこで攻めるべきかを判断できるように、今日の試合を整理して頑張りたいと思います」と、力強く発した。

 文=田島早苗

第2戦は「オフェンスは来たチャンスは逃さない」と闘志を燃やしている[写真]=伊藤大允

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