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『B MY HERO!』
「ディフェンスとリバウンドが昨シーズンより格段に良くなっていると思います」
プレステージ・インターナショナル アランマーレ(以下アランマーレ秋田)の小嶋裕二三ヘッドコーチがこう言うのもうなずける。
Wリーグ参戦2年目のアランマーレ秋田は、初参戦の昨シーズンは2勝22敗という成績。記念すべきリーグ初勝利も17試合を要した。
だが、今シーズンは開幕から2戦目で山梨クィーンビーズを相手にシーズン初勝利を挙げると、12月には東京羽田ヴィッキーズ、日立ハイテククーガーズからも白星を奪取。年明けの1月2日には、高い勝率を維持していた三菱電機コアラーズにも競り勝つ。1月2日時点で4勝8敗と、すでに昨シーズンの勝ち星を上回っているのだ。
小嶋HCの言葉どおり、1試合の平均失点を見ると、昨シーズンは77.2点に対して今シーズンは12試合を終えた時点で76.1点。リバウンドに関しては1試合平均30.4本だった昨シーズンから、今シーズンのここまでは37.3本と、大きく数字を伸ばしている。
「まだ失点はあるのだけれど、許容範囲の失点。そこに想像以上のオフェンスでフォローができ、勝ちにつなげられていると思います。昨シーズンは勝てる要素は0に近かったけれど、今シーズンは勝てる要素が少し出てきたかなというところです」と、小嶋HCは控えめに分析。
「選手は現実と理想のギャップを痛感したと思います」(小嶋HC)という初めてのシーズン。その経験はしっかりと“今”につながっており、「選手たちは、Wリーグ基準というのを感じ取ってくれていて、シュート練習にしても、高いノルマを自分に課して取り組んでくれています」と、小嶋HCは言う。その中で、昨年5月からは専用の体育館ができたことも大きいと指揮官は言い、環境面での充実もチーム力アップに貢献しているようだ。
実際、選手も手応えを感じているようで、「昨シーズンはWリーグの当たりやスピードに関して“経験”という感じでした。でも、今シーズンはその経験を踏まえたうえで、オフシーズンにしっかりとトレーニングもして、課題も修正してきました。昨シーズンよりも考えながら、賢くプレーできるようになったと思います」と、キャプテンの平松飛鳥は言う。
また、かつて東京羽田に在籍したことのある平松は自身についても「約1年、私もWリーグから離れていたので、昨シーズンを戦って(Wリーグを)思い出したところがありました。それを今、チームに還元しつつ、自分自身も経験を生かすことができているのかなと思います」と、語った。
昨シーズンは、「年明けまでずっと勝てなくて、正直モチベーション維持するのはすごく難しかった」と平松は振り返る。だが今シーズンは、勝つ喜びを早々に味わい、また4勝をしていることでも、「モチベーションになっている」と前を向く。
しかし一方で、勝ったからこその課題も浮かび上がる。それが今年最初の連戦、1月1、2日の三菱電機戦。初戦で61ー57と勝利したものの、続く2戦目では前日の修正を施した三菱電機の前に後手を踏み、「三菱電機さんと自分たちの実力の差があらわになった」(平松)と、45−86と大敗を喫した。
ただ、だからこそ如実に見えてくる課題がある。平松は「同じチームと2試合するので、相手が修正してきたことに対して、さらに自分たちも修正する力が必要」とうなづく。
2試合連続で勝ち切る強さは、小嶋HCも「まだまだこれから」と言うが、新たに生まれた課題が、またチームを強くしていく。
取材・文=田島早苗