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『B MY HERO!』
「出だしは少し重かったのですが、途中から自分たちのやりたい、走るバスケットができ、ディフェンスも締まったので、点差を離すことができたと思います」
10月21日、レギュラーシーズンで日立ハイテククーガーズと対戦したデンソーアイリスは、赤穂さくら(以下さくら)の言葉通り、第1クォーターは17ー23と5点のビハインドを負う。しかし第2クォーター、さくらが小気味よくミドルシュートを鎮めてチームに勢いをもたらすと、中盤には逆転に成功。さらに点差を広げて、11点リードで前半を終えた。後半も主導権を握ったデンソーは、ディフェンスも光り、最後は86-56で勝利を飾った。
「(味方が)中に走ったことでディフェンスが寄り、私のところが空いたので、あとは決めるだけと思っていました」と、自身のシュートについて語ったさくらは、この試合14得点の働き。「リツさん(髙田真希)たちがリバウンドを取ってくれるので、そこはシュートを落としても取ってくれるという信頼があって、自分の中では伸び伸びと、思い切り打てていると思います」ともコメントした。
今シーズンのデンソーは、2シーズンぶりにWリーグに復帰した馬瓜エブリンが加入。ここまでの4試合は馬瓜がスターターを務めており、さくらは、バックアップメンバーとして試合に出場している。
「今年は去年とは違いベンチからの出場なので、試合には、流れが悪いときに出ると思っています。スターターとは役割が少し違っていて、出たときには流れを変えなくてはいけないと思っているし、その中で『ディフェンスからしっかりやっていく』ということは自分自身で決めています」と、さくら。さらに「逆に試合を見て、『今ここができていないな』というのが明確になった状態でコートに入るので、できていないところや相手にやられてるところをより意識することができています」と、語った。
ルーキー オブ ザ イヤーを獲得した1年目(2015-16シーズン)からデンソーの主軸を担い、ここまで確実にキャリアを重ねてたさくら。今シーズンは、同期の篠原華実とともに9シーズン目となる。そのため、本人は「まだ全然できていないんですけど」と前置きした上で、「若手の頃は先輩たちに『何も考えなくていいから、自分のやりたいようにやっていいよ』と言ってもらって、本当に支えてもらいました。でも、今は(年齢が)下の選手が多くなってきて、逆に私が後輩たちに『もっと思い切りやっていいよ』と言う立場。後輩たちのフォローもできるように心がけています」という。
また、プレーにおいても「ここ2、3年は特に波があったらいけないと思いながらプレーしている」とのことで、「どうしてもダメなときは(シーズンを通し)あるのですが、そういうときは、だいたいオフェンスが良くないので、ディフェンスは絶対にできると言い聞かせてやるようにしています。若い頃はそのまま落ちていっちゃってましたね」と、語る。
チームには、2歳年下で女子日本代表でもスターターを担う妹のひまわりがおり、姉妹で優勝を目指す仲。オフシーズンにはひまわりと双子の雷太(秋田ノーザンハピネッツ)が日本代表としてアジア競技大会に出場したが、2人の試合を「見るのが楽しかった」と、さくらは微笑む。また、バスケットをする妹、弟たちとの関係をこのように語ってくれた。
「ひまわりはひまわり、雷太は雷太、私は私と、昔から親もそうやって比べずにいたので、それは今も変わりません。私はひまわりのプレーはできないけれど、逆にひまわりも私のプレーができるわけではないと思っています」
そんなさくらが改めて思う自らの武器は、「体の強さとミドルレンジのジャンプシュート」。
週末に控えた10月28、29日の試合は、出身地である石川県七尾市での開催。「目標は優勝。優勝するために自分が何ができるかというのをしっかり考えながら今、プレーしています」と意気込むさくらが、凱旋試合でどのようなパフォーマンスを発揮するのか、期待が高まる。
文=田島早苗