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3月10日、柏市中央体育館にて日立ハイテククーガーズと対戦した新潟アルビレックスBBラビッツは、試合の序盤からアグレッシブなディフェンスを披露すると、攻めては小気味よくシュートを放ち得点を重ねていく。試合開始から約5分の時点では14-6と好スタートを切った。
そのアップテンポなオフェンスを司ったのが、「前日の試合では私のエネルギーが少なく、それでチームも勢いに乗れなかったのかなと思ったので、今日はまずプッシュをする。プッシュをすることで人もボールも動くので、そこからチャンスが生まれると思っていました」という坂田侑紀奈。トヨタ自動車アンテロープス、シャンソン化粧品シャンソンVマジックでプレーし、新潟では2シーズン目を迎えるポイントガードだ。
坂田は、今シーズン中盤までコンディション調整のため試合の出場がなかったが、12月23日の試合から復帰。そこから3月10日の試合まで全10試合に出場し、中でも3月3日の山梨クィーンビーズ戦では自身キャリアハイとなる19得点を挙げて勝利に貢献した。
「個人的には攻撃も得意ですが、今はゲームコントロールというか、ボールを動かして、みんなのシュートチャンスを作るということが役割だと思っていて、今シーズンは特に意識してます」という坂田。そこには試合に出ていなかった期間にベンチから戦況を見て感じたことも大きかったようで、「若いチームなので、勢いのある選手は多いのですが、まだまだ良いところを出し切れていない、もったいないなと感じることがありました。だから、そこを私がうまくコントロールすることができたら。私がつなぎのようなことができれば、もっとチャンスが増えるなと思っていました」と、言う。また、「周りを生かすことによっては今度は自分が生きてくる」という考えもあるそうだ。
28歳でチームでは最年長。今シーズンのここまでの戦いを振り返り、チームとしての手応えをこう語る。
「個々の能力では強いチームとの差があるので、その分、ディフェンスではチームみんなで守る。しつこく守って(相手を)自由にさせない、(他チームより)背が低い分、足を使うといったところは、試合を重ねるごとに自分たちの強みになっていると感じることができました。そこを表現できたことは自信にもなりました」
加えて、若いチームだからこそ、そこから生まれるパワーや勢いを「殺さず、うまく生かしてスムーズにできることが今の新潟にとっては一番なのかなと思います」とも発した。
「本当にいい流れでやれていたと思います」と、試合を振り返った坂田は、第4クォーターの残り40秒、3︎点を追う場面で犯した自らのミスを悔やんだ。
「自分のターンオーバーが痛かったなと思います。あそこで2点のシュートでもつなげられていたら…。やっぱりミスで終わってしまうと相手の流れになりますし、せめてシュートを打ち切るところまでは…。それは自分の役割だったので反省しています」
新潟は3月16、17日のウィングアリーナ刈谷にて行われるトヨタ紡織サンシャインラビッツ戦が今シーズンの最終戦となる。
「持っているものを最初から出せるように。昨日はエネルギーが足りなくて、今日はエネルギーがあるというのではなく、最初からエネルギーを出してやること。私自身は新潟のリズムを作るという役割があるので、そこを頑張りたいです」
日立ハイテク戦での悔しい敗戦にも、司令塔の坂田は次への戦いに向けて意気込んだ。
取材・文=田島早苗