2021.05.17
第3次強化合宿中の女子日本代表。その日本代表候補メンバーの一人で、右膝じん帯損傷という大ケガからの完全復活を目指しているのが東京羽田ヴィッキーズの本橋菜子だ。合宿の練習ではすべてのメニューに参加出来ているわけではないが、公式のリモート取材に参加した本橋は、「ケガの方も順調に回復しています」と笑顔を見せた。
本橋は2019年の女子アジアカップで日本の4連覇に貢献。同大会ではMVPも獲得した。スピードに乗ったドライブや外角シュートなど、大事な場面で見せる決定力が魅力の司令塔だが、昨年11月初旬、日本代表合宿中に大ケガを負った。
この時のことを「ケガをした瞬間はオリンピックはダメだな、諦めないといけないんだと目の前が真っ暗になった」と振り返る。しかし、「そこから先生に診断してもらい、トレーナーさんたちとも相談し、いい環境の中でリハビリをやらせてもらったのですが、その中で『可能性がゼロではない』となったので、可能性がゼロではないのなら、できるところまで、最後まで諦めずにやろうと、前を向いてやってきました」と言う。
とはいえ、「ジョグからダッシュまで1か月、ダッシュから横の動きができるようになるのも1か月」と、1か月単位で進むリハビリはきつく、心が折れそうにもなる。
それでもここまで頑張れた理由を本人はこう語った。
「一番は応援してくれている人がいるというのが大きいです。それと自分自身、ケガをしてから、最後まであきらめないと覚悟を決めて挑んだので、その意思の強さだけでした」
前回の2次合宿で対人の練習以外は参加。当初は怖さや不安はあったものの、練習を重ねていくうちに無くなっていったという。
久しぶりの代表合宿参加に「一人でリハビリをしていたので、やっとここまで来たんだなという感じです」と発する表情は実に晴れやかだ。
だが、まだ今はオリンピック出場を懸けた最終メンバー争いの最中。「これまで求められていたプレーと変わらず、積極的に自分にチャンスがある時はしっかり狙うこと。いい判断をしてシュートかパスか、ドライブかをやっていきたいです。まだ100%のプレーはできないですが、徐々に上げていければいいかなと思っています」と今後に向けても意欲を見せる。
加えて、「今は、ケガからオリンピックまで、自分がどこまでできるのかという挑戦です。オリンピックに間に合わせるとなった時、いろんな人が応援してくれました。それに今までのバスケット人生でも本当にたくさんの人に支えられてきたので、感謝の気持ちやいろんな人に勇気を届けられるように、それを表現ができる最高の舞台がオリンピックだと思っているので、そこで伝えられたらいいなと思っています」とも強調した。
取材中、記者の質問に、淡々とそして的確に答えていた本橋。そこに悲壮感は感じさせなかったのが、ここまでくる道のりは決して簡単ではなかったはずだ。それでもつらかった時のことは多く語らず、時に微笑みながらポジティブな言葉を発した彼女に、改めて真の強さを感じた。
取材・文=田島早苗
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