2024.06.22
女子日本代表(FIBAランキング9位)の東藤なな子(トヨタ紡織 サンシャインラビッツ)はチーム最年少の当時20歳で「東京2020オリンピック競技大会」に出場し、「FIBA女子バスケットボールワールドカップ2022」では5試合すべてに先発した期待の若手だ。
ただ、5月の再始動から登録ポジションがシューティングガード兼スモールフォワードからスモールフォワードへ変更され、チーム内における役割も以前と異なるという。強化合宿やカナダ遠征を重ねて迎えたデンマーク代表(同52位)との「三井不動産カップ2023(高崎大会)」。101-39で大勝した6月16日の初戦は13分49秒のプレータイムで2得点を挙げるにとどまると、序盤から接戦となった第2戦では前半にプレータイムがなく、リードが19点に広がった第3クォーター残り1分54秒にようやくコートに立った。
「プレータイムがあるのかなと思いながら(ベンチで)試合を見ていました。そのなかでチャンスをもらって、全体的にアタックが効いていなかった印象だったので、そこを強く意識して入れたかなと思います」と振り返った東藤は結局、チームで3番目に少ない6分28秒の出場。フィールドゴール試投は1本、得点は2本中1本沈めたフリースローによる1点に終わり、山本麻衣(トヨタ自動車 アンテロープス)と髙田真希(デンソー アイリス)の3ポイントをお膳立てする2アシストに1リバウンド1スティールだった。
ワールドカップではスターティングファイブの一員として「出だしからペースを作っていく役割」だったというが、「今回のようにベンチから出場すると、スタートの流れを見ながら的確に、冷静に判断してコートに入るのが役割だと思います」と明かした。
恩塚亨ヘッドコーチは試合の状況に応じて2ガードを採用するようになった。1年前に「持ったらシュート」を主に求められていた東藤の仕事にも変化が生まれているという。
「スラッシャーとしてのプレーを増やしていくように言われています。ガードが停滞した時、自分がハンドラーとしてピックを使うとか、ボールをプッシュするといったことを役割として言われました。今は選択肢が増えたので、プレーの迷いというか、そこの判断の速さを求められていると感じます」
また、ワールドカップメンバーから吉田舞衣(シャンソン化粧品 シャンソンVマジック)が外れたとはいえ、林咲希(富士通 レッドウェーブ)と本橋菜子(東京羽田ヴィッキーズ)が日本代表に復帰。ワールドカップで台頭した平下愛佳(トヨタ自動車 アンテロープス)のほか、2022-23レギュラーシーズンで1試合平均43.8パーセントの3ポイントシュート成功率を記録した星杏璃(ENEOS サンフラワーズ)が新たにメンバー入りと、「FIBA女子アジアカップ2023」のロスターに多くのシューターを抱えることも東藤がポジションアップした理由の一つだろう。
現状を「試行錯誤中」と評した22歳は、変化を受け入れながらもレベルアップを誓った。
「スタートで出る難しさも、ベンチから出る難しさもあります。日本代表はいいメンバーが集まっています。HCは誰が試合に出ても高いアジリティーを目指しています。そこに自分がいることは変わりませんし、自分の強みを常に出せるように頑張っています。その上でハンドラーの役割などプレーの幅を広げていかなければいけません」
トム・ホーバスHC(現男子日本代表)から高評価を受けたディフェンスに多彩なオフェンス力が加わった時、東藤は日本代表の“若きエース”から“エース”へ進化を遂げるだろう。
文=酒井伸
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