2024.07.05
Wリーグは1月5日の試合を終え、約2カ月間の休みに突入している。
1月3日、休み前の最後の試合となるアイシンウィングス戦を連勝で終えたトヨタ紡織サンシャインラビッツの東藤なな子は、デンソーアイリスに43-72で敗れた12月の皇后杯・準々決勝を話に出しながら、「皇后杯では結構点差も開いたので、実力差があるのかなという重い空気でした。でも、ヘッドコーチは『ビデオを見返すと、すごくいいバスケットができていて、ディフェンスもタフだった』と言っていたので、そこに自信を持って皇后杯以降もディフェンスのコンタクトを意識したり、オフェンスでも自信を持って3ポイントシュートを打ったりしました。(アイシン戦でも)そこはできているのかなと思います」と、チームの取り組みと現状を語った。
女子日本代表候補に名を連ねる東藤は、トヨタ紡織の押しも押されもせぬエースだ。札幌山の手高校(北海道)からトヨタ紡織に入団し、1年目からポイントゲッターとして活躍。ディフェンスにも定評があり、今シーズンでWリーグ5年目となる(アーリーエントリーの年を除く)。
チームは今シーズンよりトヨタ自動車アンテロープスで優勝経験のあるルーカス・モンデーロHCを招へい。新たなスタイルで戦っているため、まだ試行錯誤のところはあるが、先に挙げたように年明けの試合では一定の手応えも感じることとなった。
だが、東藤は「今に満足してはいけないと思うし、(ヘッドコーチの考えるバスケットを)まだ50パーセントぐらいしか体現できていないと感じるので、もっと理解すること。そうしたら伸び代も増えると思っています」という。
また、「リズムのいいバスケットを求められている中で、私ができることは隙を見てアタックをすることやアシストを演出すること。個人で打開することが必要な時間帯では、積極的に攻めるようにしています」と、自らの役割についても語った。
これについて問うと、東藤は「(9月上旬の)オータムカップの頃は、とりあえずアタックしなくてはいけないといった思考でやっていました。でも、ヘッドコーチが『無理だったらパスを回して。セットプレーには続きがあるから』と言ってくれたので、攻められなかったら次に回すようになりました。他の選手に頼るというか、たとえ私のところで無理でも、ほかに『ここで攻めることができる』というのがあるので、チームの連携プレーは増えたと思います」と、その理由を語る。
さらに、年々、相手ディフェンスが東藤の攻めに対応してくることを踏まえ、「ディフェンスがどう寄ってくるかというのを分かった上で、今年は冷静に判断できています」とも明かしてくれた。いい意味の『余裕』が生まれているのだろう。東藤自身も「はい、それはすごくありますね」と言い、こう続ける。「それと、北村悠貴さんのフィニッシュで終わることもあって、チームのオフェンス力が向上しているとも感じています。それで私自身も気持ちが楽になっていますね」
今シーズンより得点力が高くキャリアのあるガードの北村が加入したことも、東藤にとっては余裕を持ってプレーできている要因となっているようだ。
そんな東藤は2000年の辰年生まれで、今年が年女となる。
「チームとしても個人としても新しいバスケットに対してしっかりと着実に積み重ねていく年にしたいと思います。日本代表活動ではOQT(オリンピック世界最終予選)がある大事な年なので、自分を見失わずに。最後に後悔しないように継続する力をつけていきたいです」
辰(龍)は、十二支の中で唯一、想像上の動物となる。「なんか、かっこいいですよね」と笑顔を見せた東藤は、最後に「唯一無二の龍、唯一無二の年女でいきます」と、2024年の誓いを力強く発した。
取材・文=田島早苗
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