2023.06.01
6月末に「FIBA女子アジアカップ2023」(オーストラリア・シドニー開催)を控える女子日本代表。5月11日には2023年度の女子日本代表候補選手が発表された。
メンバーは最年長の髙田真希(デンソーアイリス)をはじめ、東京オリンピック以来の女子日本代表活動参加となる町田瑠唯(富士通レッドウェーブ)ら21名。3月までは高校生だった薮未奈海(デンソー)が最年少で、林真帆(東京医療保健大学4年)、朝比奈あずさ(筑波大学2年)ら2人の大学生も名を連ねた。
21名の平均年齢は24.9歳(5月11日現在)。ちょうど赤穂ひまわり(デンソー)、オコエ桃仁花(GEELONG SUPERCATS)、馬瓜ステファニー、宮下希保(ともにトヨタ自動車アンテロープス)らが現在24歳で、年齢的に中心に位置する。
上記の4人は前回のアジアカップに出場し、チームを5連覇へと導く働きを見せた。また、彼女たちの一学年下の山本麻衣(トヨタ自動車)も3x3や5人制の女子日本代表ですでに結果を残しているガードだ。いずれの選手たちもこれからの日本を担う選手たちではあるが、今回は、山本より下の学年、2000年以降に生まれた選手に注目してみたい。
文=田島早苗
2000年生まれの中では、群を抜くキャリアを持つのが東京オリンピックでは当時20歳の最年少で出場した東藤なな子(トヨタ紡織サンシャインラビッツ)だ。同大会では、相手エースを封じ込めるディフェンスなどでチームを盛り立てたが、当時から攻撃でも高い得点能力に注目を集めていた。オリンピック以降も、アジアカップや昨年の「FIBA女子バスケットボール ワールドカップ2022」(以下ワールドカップ)で主軸を務めている。
「東京オリンピックやその後のアジアカップ(2021年)では、先輩たちがカバーしてくれるから、失敗を恐れずにできることを精いっぱいやろうと思っていました。でも、今は後輩たちをやりやすい環境にしてあげられるようにする立場になったと思うし、責任をより強く持ってプレーしなくてはいけない立場にもなったと思っています」(東藤)
日本代表について語るその言葉は実に頼もしい。だが一方で、「選手選考に関して余裕は全然ないです。選考のライン上にいると思ってやっているので、プレーの質を意識しながら取り組んでいます」とも発する。女子日本代表は毎年チーム内の争いが激しい。だからこそ、これまでのキャリアにおごることなく、東藤は目の前の状況を冷静に見つめているのだ。
「昨年度から自分自身の求められていることは変わらないと恩塚(亨)ヘッドコーチも言ってくださっています。その求められていることを自分の役割だと認識して、毎回の練習で発揮していきたいです」(野口)
特に昨年の代表活動では「個人的にあまり良い終わり方ができなかった」ことで、悔しさが残った。だからこそ、「今回もこうして呼んでもらえたので、最後まで残れるように。期待に応えられるようしたいです」と、再び訪れた世界を相手に戦うチャンスをしっかりとつかみ取りたいと考えている。
東藤の同年代の選手として注目したいのが星杏璃(ENEOS)だ。星は、昨シーズンに目覚ましい飛躍を遂げたシューティングガード。3ポイントシュートを主体に高い得点力を発揮し、ENEOSの皇后杯と第24回Wリーグの優勝に一翼を担った。
星は、東藤らとは対照的に女子日本代表候補には初選出。「うれしかったのが一番ですが、それとともに少し不安もありました。日本代表でのプレーはENEOSとはまた違ってくるし、自分のプレーが世界(国際大会)に通用するのかなという不安もあります」と、初選出の感想を語る。
それでも、「タクさん(渡嘉敷来夢)やユラさん(宮崎早織)、キキさん(林咲希)たちが日本代表活動で持ち帰ってくるプレーが、自分も経験したことでつながった感じがあって。新しいバスケットをすることが新鮮で楽しいです」と笑顔も見せた。
1、2番ポジションを兼任できるのは星の強みだが、女子日本代表ではポジション争いも激しい。だが、それを踏まえたうえで、「合宿は選考会でもあるので、アピールをしていかないといけないし、アピールすることにも慣れていかないといけないと思っています。でも、アピールというよりは、自分のやるべきことをがむしゃらにどんなときも手を抜かずにやることで、見てくれている人は見てくれるのではないかとも思っています」と、注目の若手ガードは静かに闘志を燃やしている。
「昨年、ワールドカップのメンバーに選んでもらったので、今回もしっかりメンバーに入って活躍したいという思いがあります。ワールドカップでは、相手がディナイしてきたときになかなかボールがもらえないという場面が多かったので、練習では、待っているだけではなく、自分から動いて3ポイントシュートを打てるように意識してやっています」(平下)
自らの仕事を「シューターとして3ポイントシュートを打つこと。その考えは変えずに、自分のタイミングで打てるときは打つようにしていきたいです」と語る。加えて、「(相手ディフェンスは)タクさんをフォーカスして守っていたから、私が空いていてシュートを打ちやすかったというのもありました。『3ポイントシュートを止めればいい』と他チームからは思われていると思うので、3ポイントシュートだけではダメだという気持ちもあります」ともいう。ワールドカップで手応えをつかんだからこそ見えた新たな課題。平下は、3ポイントシュートはこだわりながらも、プレーの選択肢を増やそうと取り組んでいる。
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