2024.07.17
「2人で“よかったね”という話をしました」(町田瑠唯/富士通レッドウェーブ)
女子オーストラリア代表を迎えて女子日本代表が臨んだ「三井不動産カップ2024(北海道大会)」(北海きたえーる)。6月21日の第2戦で会場が最初にどよめいたのが第1クォーター開始約5分でのことだった。
この約1分前にコートに入った町田は、早々に山本麻衣(トヨタ自動車アンテロープス)のシュートをお膳立てすると、次のオフェンスでは、山本のリバウンドからボールを受け、前方でリングへと走り込む赤穂ひまわり(デンソーアイリス)にドンピシャのパスを配給。東京オリンピックでも幾度となく見せてきた阿吽の呼吸ともいえる合わせのプレーで会場は一気に熱くなった。
「ひまわり選手は常にリングに走ってくれる選手だというのを理解していたので、走り出しの時点で多分(ディフェンスを)抜けるだろうなと思い、そこを狙っていました」と、町田はスピードのある赤穂がディフェンスを振り切った瞬間を逃さなかった。
対して町田の好パスを受けてシュートを決めた赤穂も、「めっちゃ、すっきりしました!」と満面の笑みで語ると、「前が空いてたし、瑠唯さんと目も合ったので、走れば絶対にパスが来ると思って走ったら、すごいパス来ました」と、冒頭の“よかったね”と会話を交わした赤穂は振り返った。
一瞬のアイコンタクト。これについて赤穂はこう語る。「いつもですよ。ルイさんは全部見ているから」
東京オリンピック以降はケガなどで日本代表活動を十分にできなかったが、代表復帰戦となった今回の試合ではそのブランクを感じさせないようなプレーを披露。「練習からやりやすいし、やっぱりすごいなって思いながらいつもやっています。多分、ルイさんは誰とでも(合わせが)できるタイプですし、本当にすごいです」と、赤穂も目を細めた。
この町田については、赤穂と同じく東京オリンピックで一緒に戦った髙田真希(デンソー)も「パスのセンスは間違いなく群を抜いていて、パスを受ける側としては良いタイミングでパスが来るので、シュートも打ちやすいし、攻めやすいです。選手それぞれ持ち味は違うのですが、パスのところは判断が上手だなと改めて思いました」と、コメント。また、東京オリンピックでは3x3に出場し、今回の代表活動で本格的にチームメートとして戦うこととなった山本は、「ガードのみんなそれぞれにいいところがあるので、私はその選手たちに合わせるように意識しています。その中でルイさんの場合はパスがどんどん飛んでくるので、常に合わせるようにしていますし、(オーストラリア戦では)ドライブで行けるタイミングでパスをくれたので、ドライブに行きやすかったです。意思疎通はできていると思っていて、ドライブのパスだなと感じ取ってドライブに行くことができました」と、語った。
ほかにも多くの称賛の声があるが、町田自身はオーストラリアとの2試合について、「良いところもあったと思うのですが、やっぱり課題の方が多くて。ターンオーバーだったり判断ミスだったりが自分の中では目立っていましたし、ゲームコントロールのところもやり切れなかった部分があったので、これからしっかりやっていく必要があると感じました。今日(2戦目)に関してはファウルも多かったので、そこもコントロールしていきたいです」と、出てくる言葉は課題ばかり。赤穂との合わせのプレーについても、うまく決まったことに喜びつつも「ああいうプレーを後半にも何個か出したかったのですが、あまりつなげられなかったので、これからどんどん増やしていけたらいいなと思っています」と、発した。
今回の「三井不動産カップ」は北海道札幌市で開催。北海道旭川市出身で札幌山の手高校時代に3年間を過ごした札幌は町田にとっては思い入れのある地だ。大会前から「変な緊張がありますね」と苦笑いするように、第1戦、途中でコートに立った町田の表情は硬かった。しかし、試合では冒頭のような会場を沸かせるプレーを見せるなど、さすがの働き。家族や恩師、高校時代の先輩や後輩たちの前で健在をアピールした。
「楽しさと緊張といろいろな気持ちではありましたが、北海道で試合ができ、すごく最高の雰囲気を作っていただいたきファンの方々にも感謝しています。こういった機会をいただいたことにうれしく思っています」と、感謝を言葉に乗せた町田。そして、この先も続く挑戦についても改めて意欲を見せていた。
「東京オリンピックが終わってから代表活動を頑張りたい時期にそのチャンスすらも失ってしまった状況だったので、よりパリのオリンピックに向けての気持ちは強くなっていったと思います。日本代表として試合に出るうえでの責任はすごく強いと感じていて、選手一人ひとりがそういう気持ちでやってる分、私も頑張ろうという気持ちになります。本当に素晴らしい選手ばかりで、そういった選手たちの武器、持ち味をどうやって上手く引き出せるかを常に考えながらプレーしていますし、それが私の役割でもあると思うので、それをできるように頑張りたいです」
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