2020.02.17

車いすバスケ女子日本代表、強豪カナダの主力ラインナップを誘き出した”エース封じ”

初日の試合では30得点されたカナダのエース、アリン・ヤンを徹底マーク [写真]=斎藤寿子
フリーライター

 丸善インテックス大阪で行われた「国際親善女子車いすバスケットボール大阪大会」(大阪カップ)最終日の16日、日本はカナダとの第2戦に臨んだ。世界選手権5位、昨年のアメリカ選手権で優勝した強豪相手に、日本は前半リードを奪って試合を折り返した。しかし、後半に逆転を許し、53-63で敗退。日本は4戦全敗を喫し、3位。1位は全勝したカナダで、そのカナダに連敗を喫したイギリスが2勝2敗で2位となった。

今大会No.1シューターを徹底マークした好守備

萩野真世(写真)、北田優衣、柳本あまねのローポインター陣がこれまでのうっ憤を晴らすように得点をゲット [写真]=斎藤寿子


 大会初日の第1戦で46-63と大差をつけられたカナダとの第2戦、日本はしっかりと対策をたてて臨んだ。まずは何よりも相手エースを抑えること。第1戦、日本は高さだけでなく、アウトサイドのシュートも得意とするアリン・ヤンに30得点を許した。ヤンはイギリスとの第2戦でも、24得点をマークするなど、今大会3カ国の中で最も高いシュート力を誇る選手だ。

 そのヤンに対して、日本は徹底的にマーク。少しでもゴールから遠ざけようと、高い位置からプレッシャーをかけ、常にタフな状況に追い込んだ。すると、これまで好調をキープしてきたヤンが、今大会初めて不調に陥る。第1クォーター、ミスマッチの状況でのシュートや、ゴール下でのイージーシュートを落とすなど、ヤンのシュートはリングに嫌われ、カナダは思うように得点を伸ばすことができなかった。

 一方、今大会ずっと課題とされてきた日本のシュートは、これまでの鬱憤を晴らすかのように、高確率に決まった。特に、北田優衣、萩野真世、柳本あまねのローポインター陣がスピードを活かし、相手守備の隙をついて次々とカットインし、レイアップシュートを決める。日本は13-10と、今大会初めてリードを奪うかたちとなった。

 さらに日本の実力の高さが示されたのが、第2クォーターだった。カナダはベンチに温存していた主力を投入し、ベストメンバーで臨んできた。その相手に対し、日本は第1クォーターの勢いそのままに攻守にわたって好プレーを続行。第2クォーターは27-23とし、リードを守って試合を折り返した。

カナダのプレスに苦戦を強いられ逆転負け

試合後、岩佐義明ヘッドコーチは「勝てるチームへと成長して、東京パラリンピックに臨みたい」と決意を語った [写真]=斎藤寿子


 これに、アメリカ大陸の覇者が本気で牙をむいてきた。第3クォーター、引き続き主力メンバーで臨んできたカナダは、スタートからオールコートでのプレスディフェンスをしいてきたのだ。「プレスは想定していた」という日本だったが、ブレイクをしてハーフラインを越えるものの、短い時間の中でのタフショットを決め切れずに苦戦を強いられた。

 カナダは第4クォーターに入ってもプレスディフェンスを続け、主導権を握り続けた。日本もプレスブレイクからのレイアップシュートやオフェンスリバウンドからのセカンドショットを決めるなどして追い上げを図る。最後の残り2分間は、相手に得点を許すことなく7得点を挙げたものの、最大18点開いた差を埋めることはできず、53-63で敗れた。

「今大会は勝つ姿を見せることができず、非常に残念です。しかし、世界2位、5位との差は、スコア通り、それほど大きくないと感じています。ハードなゲーム展開の中で勝つためには、体力、メンタル面のさらなるレベルアップが必要。この経験を単なる経験で終わらせるのではなく、勝てるチームへと成長して、東京パラリンピックに臨みたいと思います」と岩佐義明ヘッドコーチ。

 本番まで、あと半年。今大会で得られた収穫と課題を糧に、さらにステップアップして3大会ぶりとなる世界最高峰の舞台に挑む。

文・写真=斎藤寿子