2020.02.16

車いすバスケ女子日本代表、1点差に迫るも最後に引き離され世界2位イギリスに連敗

1点差にまで詰め寄った日本[写真]=斎藤寿子
新潟県出身。大学卒業後、業界紙、編集プロダクションを経て、2006年よりスポーツ専門ウェブサイトで記事を執筆。車いすバスケットボールの取材は11年より国内外で精力的に活動を開始。パラリンピックは12年ロンドンから3大会連続、世界選手権は14年仁川、18年ハンブルク、アジアパラ競技大会も14年仁川、18年ジャカルタの各大会をカバーした。

 2月15日、丸善インテックアリーナ大阪では「国際親善女子車いすバスケットボール大阪大会」(大阪カップ)2日目が行われ、日本はイギリスとの第2戦に臨んだ。攻守ともに出だしから自分たちのバスケをしっかりと遂行した日本は、第3クォーターまでは一ケタ差の接戦に持ちこんだ。第4クォーター開始早々には1点差に迫ったものの、その後はイギリスの猛攻を止めることができず、最後は引き離されるかたちで56-73で敗れた。

攻守にわたってイギリスと競り合った日本

世界2位のイギリスに善戦した[写真]=斎藤寿子

 第1クォーター、高さで上回る相手に対し、日本は“武器”で対抗した。その一つが、前日のカナダ戦に続いてスタメンに抜擢された柳本あまねのピック&ロールからの得点だった。柳本は、味方のハイポインターの前を陣取り、相手にピックをかけてハイポインターをサポート。さらにハイポインターのミドルシュートを警戒する相手がジャンプアップにいった隙をついて、ぽっかり空いたスペースにカットインし、ほぼフリーの状態でレイアップシュートを決めてみせた。

世界トップの守備力を誇るイギリスの隙をつくピック&ロールで、立て続けに得点を重ねた柳本。このチーム最年少のプレーにチームは勢いに乗った。中盤には網本麻里、藤井郁美がミドルシュートを決めると、終盤には北田千尋、萩野真世が相手のターンオーバーからつかんだチャンスをしっかりと得点につなげた。強豪イギリスの主力相手に、日本は18-20と食らいついた。

 第2クォーターは、終盤に日本のシュートがリングに嫌われ、じりじりと引き離されかけた。それでも29-37と、なんとか一ケタ差で凌ぎ切る。まだ勝負の行方はまったくわからなかった。

 第3クォーターは、この試合チーム最多得点をマークした網本が積極的にインサイドにアタックし、カットインからのレイアップシュートを次々と決めてみせた。得意のレイバックシュートも華麗に決め、網本は地元大阪の会場に詰め掛けた観客を魅了した。

 その網本を筆頭に、流れの中で得点を重ねていった日本。その背景には、イギリスが日本の好守備で余儀なくされたタフショットの確率が下がったことが要因としてあり、ディフェンスリバウンドからの速いしかけが日本に流れを引き寄せた。

シュート成功率アップにつかんだ手応え

1点差に迫るシュートを沈めた柳本[写真]=斎藤寿子

 第3クォーターでイギリスの12得点を上回る17得点を挙げた日本は、46-49と3点差に迫った。そして、第3クォーターの流れを継承するかのように、第4クォーター開始早々、ディフェンスリバウンドからの速攻に柳本がしっかりとレイアップシュートを決め、ついにその差は1点となった。

 ところが、その直後、再び日本のシュートがリングに嫌われ始めた。その間、イギリスは次々とタフショットを決め、力づくで勝利を手繰り寄せるかのように引き離していった。

 終盤、日本はようやくシュートが決まり始め、北田の3Pシュートなどで反撃に転じた。しかし、一気に開いた差を埋めるにはあまりにも時間が足りなかった。

 結果的に17点差での敗戦となったものの、この試合での手応えもあった。特にオフェンス面では、前日まで30%台だったフィールドゴール成功率が43.6%へとアップしたことは、チームにとって大きな収穫だった。

 大会最終日の16日には、カナダとの第2戦に臨む。第1戦で2ケタ差で敗れた相手に、どれだけ食らいついていくことができるかが注目される。チームスローガンである“一致団結”で東京パラリンピックへの弾みとなる試合にするつもりだ。

文・写真=斎藤寿子

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