2018.04.28

驚異の新人ミッチェルが38得点と大暴れ! ジャズがサンダーを下して1回戦突破

シリーズに決着をつけて喜ぶミッチェル(左)とフェイバーズ(右)[写真]=Getty Images
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第3Qだけで22得点を挙げたミッチェルがジャズをけん引

 4月28日(現地時間27日)、オクラホマシティ・サンダー(2勝)とユタ・ジャズ(3勝)のシリーズ第6戦が、ジャズのホーム、ビビント・スマート・ホーム・アリーナで行われた。

 シリーズ突破に王手をかけたジャズは、ホームで決着をつけるべく、この試合に必勝態勢で臨んだ。対するサンダーは、第5戦で25点差から逆転勝利しており、そのままの勢いでホームの最終戦へと持ち込むべく、アウェーの地に足を踏み入れた。

 第1クォーター。ジャズはドノバン・ミッチェルルディ・ゴベアのショットで先行。サンダーはスティーブン・アダムズポール・ジョージが応戦し、僅差のゲームへと持ち込む。

 このクォーター残り6分30秒にラッセル・ウェストブルックの3ポインターでサンダーが逆転すると、ジャズにアクシデントが発生。先発ポイントガードのリッキー・ルビオが左ハムストリングを痛めてしまい、残り4分52秒でコートから離脱。その後コートに戻ることはなかった。

 司令塔を失ったジャズは、このクォーターで最大9点のビハインドを背負ってしまう。しかし、デリック・フェイバーズジェイ・クラウダーらの得点で巻き返し、18-22と、サンダーのリードを4点に縮めていく。

 第2クォーター。両チームのスコアがなかなか動かない中、ジャズはアレック・バークスが5連続得点を挙げて逆転に成功。サンダーはカーメロ・アンソニー、コーリー・ブリュワー、ウェストブルック、アダムズらのショットでリードを奪い返していった。

 するとジャズは、ミッチェルとゴベアらが加点し、何とか1ケタビハインドのまま逆転のチャンスをうかがう。残り2分26秒に8点差(31-39)をつけられると、クラウダーのジャンパー、ジョー・イングルズの2連続3ポインターで一気に追いつき、前半残り1.5秒にミッチェルがレイアップを決めて41-41。同点で試合を折り返す。

貴重な3ポイントを沈めたイングルズ[写真]=Getty Images

 第3クォーター。アウェーで少しでも優位に立ちたいサンダーを尻目に、新人ミッチェルが爆発。ドライブに3ポイントシュート、ジャンパーを織り交ぜ、なんとこのクォーターだけで22得点を挙げる猛攻を見せ、ジャズに最大12点のリードをもたらした。

 背水の陣で戦うサンダーは、ウェストブルックとアダムズを中心に対抗するも、ジャズとの点差はなかなか縮まらず。結局このクォーターを終えて、70-79の9点ビハインドを喫してしまう。

 最終クォーター。サンダーがウェストブルック、アダムズ、レイモンド・フェルトンらの得点で必死に追い上げ、残り2分44秒で2点差(88-90)まで迫る。その後ミッチェルにレイアップを許したものの、残り1分28秒でウェストブルックの3ポインターで1点差(91-92)と、逆転する最大のチャンスを得た。

 しかし、ジャズはミッチェルのアシストでフェイバーズが値千金のジャンパーをヒット。残り1分8秒で3点リードとなった。残り約18秒、ジョージがトップ・オブ・ザ・キーでゴベアをかわし、4ポイントプレー狙いの3ポイントシュートを放つ。

 もしショットがリムに嫌われても、ファウルをもらって3本のフリースローを得ることができるため、それをすべて決めれば同点にできる、そのプランをジョージが忠実に遂行したかのように見えた。

 ところが、無情にもファウルコールはなく、最後はミッチェルがフリースローを2本決めてジャズが逃げ切りに成功。最終スコア96-91でシリーズを制し、2年連続のカンファレンス・セミファイナル進出を決めた。

シリーズを通じて、サンダーはミッチェルへの解決策を見つけることができなかった[写真]=Getty Images

苦楽を共にし、シーズンをとおして成長してきたジャズ

 ジャズではミッチェルがシリーズベストとなる38得点4リバウンド、フェイバーズが13得点8リバウンド2ブロック、ゴベアが12得点13リバウンド2スティール3ブロック、イングルズが12得点7リバウンド5アシスト2スティール。さらに、バークスがベンチから11得点を獲得。

 特筆すべきはミッチェルだろう。このシリーズすべてにおいて20得点以上をたたき出したことで、1970年のカリーム・アブドゥル・ジャバー(元ロサンゼルス・レイカーズほか)以来、初の快挙を成し遂げた。ルーキーがプレーオフのシリーズに決着をつけた試合で挙げた得点(38)としても、歴代4位という見事な数字。さらに、『ESPN Stats & Info』によると、ミッチェルがプレーオフ最初の6試合で挙げた計171得点というのは、ジャバーとウィルト・チェンバレン(元フィラデルフィア・ウォリアーズほか)に次ぐ史上3位という快挙となった。

 オールスター選出経験を持つ選手不在のジャズが、ウェストブルック、ジョージ、カーメロで計22度のオールスター選出経験を誇るサンダーを下した最大の要因が、ミッチェルだったと言っていいだろう。

 ハーフタイムで、ミッチェルはクイン・スナイダーHCに背中を押されたと明かした。「コーチが『我々は勝ちにいく。だから君はコート上で爆発するように』と言ってくれたんだ。コーチにそう言われたら、考えを切り替えるし、緊張なんかしている場合じゃないよね」とミッチェルは自身のパフォーマンスについて振り返っていた。

 サンダーでは、ウェストブルックがゲームハイとなる46得点に10リバウンド5アシスト2スティール、アダムズが19得点16リバウンドをマークしたものの、2ケタ得点を挙げたのはこの2人のみ。ジョージは16本放ったショットのうち2本しか決められず、わずか5得点と8アシスト。カーメロは7投中3本成功の7得点で今季最後のゲームを終えた。

 今季終了後にフリーエージェントになることができる権利を持つジョージは、試合後の会見で「俺は是非ともサンダーに残りたいと思ってる。我々はこの夏にまた話すだろう」という言葉を残した。チームとしてもジョージ本人としても、今季は不完全燃焼だったという印象が残る。

 「毎晩、俺は自分が持っているすべてを出し切って、コートを去っていく。エナジーとアグレッシブさを持ち込み、チームのためにプレーしてきた」と語ったのはウェストブルック。ジャズ相手に2試合連続45得点以上を挙げたものの、2年連続となるプレーオフ1回戦敗退という悔しい結果に。

今季開幕前に最も話題を集めたサンダーのビッグ3(左からジョージ、カーメロ、ウェストブルック)は、1回戦で姿を消した[写真]=Getty Images

 一方、勝利したジャズのイングルズは「僕らはシーズンをとおして、すばらしいチームになることができた。好不調の波もあったけど、チームとしてプレーしてきた。今夜はそのことを表す一番の例かもしれないね」と語り、チームバスケットを遂行してシリーズを勝ち上がったことを誇った。

 今から約3か月前の1月下旬。ジャズは19勝28敗で苦しんでいた。しかしそこから11連勝したことを皮切りに、チームとして攻防両面において成長を遂げてきた。ルビオのコンディションが心配ではあるものの、サンダーの猛追を振り切ったことはさらなる自信へとつながったに違いない。

 見事ウエスト準決勝へ駒を進めたジャズ。今度の相手はリーグトップのシーズン65勝を挙げたヒューストン・ロケッツとなる。30日(同29日)から幕を開けるシリーズでも、自慢のチームバスケットを遂行してどこまで勝利を得ることができるか注目だ。

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