2018.08.17

「ローズは永遠にMVPなんだ」——デリック・ローズのシューズは中国で大人気!

中国で絶大な人気を誇るローズ[写真]=Getty Images
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昨季のプレーオフで復活の兆しを見せた史上最年少の元MVP

 現役NBA選手の中で、現在アディダスからシグニチャーシューズを展開しているのは3選手のみ。昨季のシーズンMVPジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)、昨季オールNBAファーストチームに選出されたデイミアン・リラード(ポートランド・トレイルブレイザーズ)、そしてデリック・ローズ(ミネソタ・ティンバーウルブズ)である。

 このうち最も長い期間、シグニチャーシューズを展開しているのがローズだ。今夏には北米を中心に新作となる「D ROSE 9」がリリース。ローズ自身は8月上旬に中国でイベントを行っていた。

10ー11シーズン。ローズは平均25.0得点4.1リバウンド7.7アシストを挙げてMVPを獲得[写真]=Getty Images

 ローズといえば、シカゴ・ブルズ在籍時の2010-11シーズンに史上最年少(22歳と191日)でMVPを獲得し、一躍リーグのトッププレーヤーの仲間入りを果たしたスコアリングガード。キレ味鋭いドライブから積極果敢に相手ディフェンス陣を切り裂き、自らの得点だけでなくチームメートへの得点機会もクリエイトしてきた。

 しかし、翌年から度重なる膝のケガに苦しめられたローズは、徐々に爆発的なクイックネスとジャンプ力がダウンし、NBAでも活躍の場が減少していった。一昨季はニューヨーク・ニックスで平均18.0得点を挙げるも、昨季はクリーブランド・キャバリアーズで開幕を迎え、トレード・デッドラインには3チーム間のトレードでユタ・ジャズへ移籍。その後ウェイブを経てウルブズへ。

 ローズはブルズ時代の恩師トム・シボドーHC、バックコートの相棒ジミー・バトラーの下で、バックアップのポイントガードとしてプレー。ウルブズにおけるレギュラーシーズン(出場9試合)では平均12.4分5.8得点1.2アシストと低迷するも、15年以来の出場となったプレーオフで躍動する。

 ロケッツとのファーストラウンドで、ローズは全5試合でベンチスタートながらシリーズ平均23.8分14.2得点2.6アシストをマーク。唯一勝利を収めた第3戦でも17得点2スティールと活躍し、勝利に大きく貢献。今夏にはウルブズと1年約240万ドルで再契約を結んだ。

昨季のプレーオフではフィールドゴール成功率50%以上、3ポイント成功率では70%をマークしたローズ[写真]=Getty Images

売上の70%以上を占める中国で、絶大な支持を得るローズ

 とはいえ、シグニチャーシューズを持つことができるのは、NBAの中でも指折りの選手しかいない。所属チームでエース級の活躍をする選手やオールスターに選出された選手であっても、シグニチャーシューズを展開できる選手は限られている。ローズは現在、所属チームのエースでもなければ、スターターでもない。

 しかしながら、ローズがアディダスと結んだスニーカー・エンドーサーとしての契約額は、レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ/ナイキ)、ケビン・デュラント(ゴールデンステート・ウォリアーズ/ナイキ)、ステフィン・カリー(ウォリアーズ/アンダーアーマー)、ハーデン(アディダス)に次ぐ5位。ローズは今後、アディダスから少なくとも6,500万ドルを受け取ることになるという。

 そこで大きなポイントとなるのは中国における市場である。スニーカー業界の情報筋によると、ローズのシグニチャーシューズの売上のうち、実に70パーセント以上を中国が占めているという。中国における2017年のNBA選手のジャージー売上ではローズがニックスで着用した25番がトップ10に入っており、今年『ESPN』が発表した世界的に有名なアスリートのランキング「World Fame 100」でも、ローズは36位にランクイン。ローズの人気は中国のファンによる絶大な支持によるものと言っても過言ではない。

 初めて中国を訪れた際、ローズは『ESPN』に対してこう語っていた。

 「(初めて)中国に行った時、まるで僕はモハメド・アリ(ボクシング界のスーパースター)のような感じだった。彼らが僕のことを認知してくれていることを知ってすごくうれしかったね」。

中国のファンとの記念撮影。ローズの人間性も、人気の要因の1つとなっている[写真]=Getty Images

 中国の関係者は「ローズはたぶん、MJ(マイケル・ジョーダン/元ブルズほか)以降、ブルズでは最も重要な選手だ。ファンは彼の内面を見ている。昨年、彼が中国に来た時、彼らはローズが最も謙虚なNBAスターだと思ったはずだ。ファンの熱烈な歓迎に、ローズは涙を流していた」と明かす。

 長年ローズのファンで、現在は中国のブランドの従業員として働く男は「ローズは永遠にMVPなんだ」と口にしていた。アディダスと競合ではあるものの、ローズについては手放しで称賛している。

 ローズのシグニチャーシリーズでは、シーズンMVPを獲得した10-11シーズンに着用していた「D ROSE 1.5」がレトロ版として再リリースされるなど、その人気は今でも健在。

 キャリア10年目という節目となる今季、ローズが再びコートで躍動する姿をぜひとも見てみたいものだ。

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