2019.10.01

NBAジャパンゲームズではムトンボ、ボッシュ、マリオンが登場する『NBA Fan Night Presented by Rakuten』にも注目!

NBAジャパンゲームズには両チームのレジェンドも来日する [写真]=Getty Images
NBA好きが高じて飲食業界から出版業界へ転職。その後バスケットボール雑誌の編集を経てフリーランスに。現在はNBAやBリーグのライターとして活動中。

ヒューストン・ロケッツとトロント・ラプターズが来日して行われるNBAジャパンゲームズ。10月8日と10日にさいたまスーパーアリーナでプレシーズンマッチが行われることになっているが、その中日となる9日にはNBAファンイベント『NBA Fan Night Presented by Rakuten』が催されることをご存じだろうか? このイベントには両チームから選手が参加することになっているが、3人のレジェンドの来日も決まっている。ここでは彼らの功績を紹介したい。

文=秋山裕之

独特の声で複数の言語を操るNBAのグローバルアンバサダー~ディケンベ・ムトンボ

NBAグローバルアンバサダーとして活躍を続けるムトンボ [写真]=Getty Images

 218センチの長身に一際長い腕を駆使して相手選手のショットを何本もブロックしてきたディケンベ・ムトンボ(元アトランタ・ホークスほか)。18年のNBAキャリアでデンバー・ナゲッツ、アトランタ・ホークス、フィラデルフィア・セブンティシクサーズ、ヒューストン・ロケッツなど計6チームを渡り歩き、NBA歴代20位の1万2359リバウンド、NBA歴代2位となる3,289本ものブロックショットを積み上げてきた。コートではチームメートをサポートすべく、身体を張った献身的なプレーを遂行。ブロックショットを決めた後に見せる、観客へ向けて右手の人差し指を左右に動かす”フィンガーワグ”が特に有名だ。

 コンゴ民主共和国出身のビッグマンは現在53歳。ディケンベ・ムトンボ・ムポロンド・ムカンバ・ジャンジャック・ワムトンボという異様に長い本名を持つムトンボは、NBA引退から約10年が経ったものの、NBAのグローバルアンバサダーとして活躍を続けている。現役時代から慈善活動を積極的に行っており、親しみやすい笑顔と独特な低い声でさまざまなイベントに参加。ムトンボという男を語るうえで、特筆すべきなのは語学堪能なところ。英語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、スワヒリ語に加え、アフリカの言語を複数操る知的な一面を持つ。スペシャルオリンピックス国際本部グローバルアンバサダーとして来日した2017年11月以来、約2年ぶりの来日となるムトンボは、今回のイベントでも存在感を発揮してくれることだろう。

2000年代後半のラプターズをけん引したスコアラー~クリス・ボッシュ

2000年代中盤から後半にかけて、ボッシュはラプターズで最も重要な選手だったと言える [写真]=Getty Images

 211センチの長身ながら、しなやかな動きでコート上を暴れ回ったクリス・ボッシュ(元トロント・ラプターズほか)。ドライブやジャンプショットを中心に、ミドルレンジからペイントエリアを主戦場としたパワーフォワードは、ラプターズでプレーした7シーズンで平均20.2得点9.4リバウンド2.2アシスト1.2ブロックをマークし、プレーオフへ2度導いた。2000年代中盤から後半にかけて、ボッシュはラプターズで最も重要な選手だったと言っていいだろう。左腕でたたき込むクイックなダンクはもちろん、ミドルレンジで見せるソフトタッチなジャンパーやフェイドアウェイジャンパーは鮮やかかつ決定力抜群だった。

 2010年夏、ボッシュはフリーエージェントとなり、レブロン・ジェームズ(現ロサンゼルス・レイカーズ)と共にドウェイン・ウェイド(元マイアミ・ヒートほか)が待つヒートへ加入。ボッシュは攻防両面でアンセルフィッシュなプレーを見せ、11年から4年連続のファイナル進出に貢献し、12、13年の2連覇でも重要な役割を果たした。特に13年ファイナル第6戦の第4クォーター終盤にレイ・アレン(元ボストン・セルティックスほか)の同点3ポイントへとつなげたオフェンシブ・リバウンドと、延長終盤に見せたブロックショットは、ヒートの2連覇を語るうえで不可欠なプレーとして今後も永遠に語り継がれるだろう。

 現役終盤、ボッシュは血栓により思うようなプレーができない中、昨季途中まで懸命にリハビリとトレーニングを続けてきたのだが、復帰を断念。今年3月下旬にヒートで着用した背番号1が永久欠番となったこともあり、ボッシュがラプターズ在籍時に着用していた4番がフランチャイズ史上初の永久欠番になる可能性も十分あるのではないだろう。

“ザ・マトリックス”の愛称で親しまれた特異な万能戦士~ショーン・マリオン

ラプターズをはじめ、様々なチームで存在感を示したマリオン [写真]=Getty Images

 現在ヒューストン・ロケッツの指揮官を務めるマイク・ダントーニヘッドコーチが2000年代中盤から終盤にかけて在籍していたフェニックス・サンズで、ショーン・マリオン(元フェニックス・サンズほか)はスティーブ・ナッシュ(元サンズほか)、アマレ・スタッダマイヤー(現未所属)と共に”3本柱”を形成。201センチ99キロと、パワーフォワードとしては小柄だったものの、マリオンは自慢の機動力と跳躍力、そして動物的な勘を駆使してコートを縦横無尽に駆け回り、得点とリバウンドを量産。独特なシュートフォームながらミドルレンジや3ポイントを沈めつつ、ナッシュのアシストやオフェンシブ・リバウンド、ファストブレイクから相手チームのリングを強襲し、会場を何度も沸かせてきた。

 ジャパンゲームズで来日するラプターズには2008-09シーズン途中にトレードで加入し、計27試合に出場して平均14.3得点8.3リバウンド2.3アシスト1.1スティールをマーク。翌09-10シーズンからダラス・マーベリックスへ加入し、有能なロールプレーヤーとして攻防両面で活躍。11年にマブスのフランチャイズ史上初優勝に貢献したマリオンは、現役時代に”ザ・マトリックス”という愛称で親しまれた。神出鬼没のリバウンドや予想外の動きなど、世界中からトップアスリートたちが集結するNBAにおいても、マリオンは特異さがいくつも詰まった魅力的な選手だったのである。

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