2019.11.13

永久欠番となったトニー・パーカーが恩師に感謝「僕を信じてくれて、ありがとう」

背番号9がスパーズ史上10人目の永久欠番となったパーカー[写真]=Getty Images
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スパーズの4度の優勝に大きく貢献、通算勝利数はNBA歴代7位の892勝

 11月12日(現地時間11日)。サンアントニオ・スパーズはホームのAT&Tセンターでメンフィス・グリズリーズ戦を行い、109-113で敗れたことで今季成績を5勝5敗とした。

 だがこの日は試合以上に、スパーズという組織にとって記念すべき日となった。一昨季までスパーズで17シーズンをプレーし、昨季終了後に現役を引退したトニー・パーカー(元スパーズほか)の永久欠番セレモニーが行われたからだ。

 パーカーがスパーズで着用した背番号9番は、スパーズのフランチャイズ史上10人目の永久欠番。今年3月29日(同28日)に20番が永久欠番となったマヌ・ジノビリ(元スパーズ)に続く名誉に。

 セレモニーにはグレッグ・ポポヴィッチHC(ヘッドコーチ)をはじめ、RC・ビュフォードGM(ゼネラルマネージャー)、チップ・イングランドAC(アシスタントコーチ)、デイビッド・ロビンソン(元スパーズ)に加え、パーカーと共にスパーズをチャンピオンへと導いた選手たちが集結。

 今季からスパーズのACに就任したティム・ダンカン、一昨季限りで引退したジノビリ(共に元スパーズ)をはじめ、多くのスパーズOBたちがパーカーの永久欠番を祝福した。

「ここにいる皆と一緒にプレーすることができて光栄でした。僕の人生において、皆さんがどれほどの影響を与えてくれたか、分からないでしょう。あなた方は毎日、僕を勇気づけてくれました」とパーカー。

 スパーズがこれまでに優勝した5度のうち、4度の優勝に主力として貢献したパーカーは、2007年にはファイナルMVPにも輝き、フランチャイズを象徴するポイントガード(PG)としてすばらしいキャリアを歩んできた。

 6度のオールスター、4度のオールNBAチーム選出に加え、フランチャイズ史上最多の6,829アシスト、プレーオフではNBA歴代9位の通算4,045得点という記録を残し、NBAの歴史にその名を刻んだ。

 だがパーカーを語るうえで最も際立っているのは、やはり勝利数だろう。レギュラーシーズン通算892勝は歴代7位。ダンカン、ジノビリと共に飾った勝利数は、トリオとしてNBA史上最多の541勝と、申し分ない実績として今後も語り継がれるに違いない。

絶妙なシュートタッチから放たれたパーカーのフローター[写真]=Getty Images

恩師ポポヴィッチHCや“ビッグ3”を形成したダンカンとジノビリが祝福

 数々の功績を残してきたパーカーに対し、ポポヴィッチHCが「私は世界で最も幸運だった。19歳の頃から君のことを見てきたんだからね。私は若かりし頃の君へボールを与えて『オーケー。君はショーを演出してくれよ』と言うと、君はすぐさま殿堂入りするレベルの選手へと飛躍したんだ。スパーズという組織のためにやり遂げたすべてのことに感謝している」と称賛すると、「あなたは僕にとって第2の父親でした。ゲームを理解する手助けをしてくれましたし、より良い選手へと成長させてくれました。僕のことを信じてくれて、本当に感謝しています」と恩師への感謝を述べていた。

 また、ピック&ロールでパーカーと絶妙なコンビネーションを見せていたダンカンは、ルーキーイヤーを振り返りながら「彼は本当に早く成長していった。まさか彼が僕にとってのポイントガードになるだなんて思いもしなかった。でも彼は僕の残りのキャリアの中で、プレーしていて楽しいポイントガードになったんです」とコメント。

セレモニーにはビッグ3が集結(左からダンカン、ジノビリ、パーカー)[写真]=Getty Images

 ジノビリは「TP(パーカーの愛称)、僕らは15年間も一緒にプレーしてきた。1,000試合以上の中で、数多くの勝利と敗戦を経験してきたね。その中で、何百回もディナーを共にし、バスのなかでかぞえきれないほど話したね。最高に楽しかったよ。今後も君の幸せを祈っているよ」と語り、パーカーと熱いハグを交わした。

 パーカーはNBAキャリア18シーズンでレギュラーシーズン通算1,254試合(うち先発は1,151試合)に出場。キャリア平均30.5分15.5得点2.7リバウンド5.6アシストに加え、フィールドゴール成功率49.1パーセントという高確率でフィニッシュ。

 ピック&ロールやドライブから繰り出すプルアップジャンパー、電光石火のクイックネスで相手ディフェンダーを置き去りにし、“ティアドロップ”の異名で知られたフローターやレイアップで、パーカーはスパーズを何度も勝利へと導いてきた。

 近い将来、パーカーがバスケットボール殿堂入りすることはほぼ間違いないだろう。

NBAではスパーズとホーネッツでプレーし、フランス代表としても活躍したパーカー[写真]=Getty Images