2021.01.09

スパーズのレジェンド、ティム・ダンカンが現役時代を振り返る「トラッシュトークは私のゲームの一部ではなかった」

スパーズ一筋で活躍し、5度の優勝を成し遂げたダンカン[写真]=Getty Images
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常にクールに仕事をこなしてきたダンカン

 1997年NBAドラフトでサンアントニオ・スパーズに全体1位指名され、その後19年に渡りリーグで活躍してきたティム・ダンカン。5回のNBAチャンピオン、3回のファイナルMVP、2回の最優秀守備選手賞を受賞するなど、歴代最高のパワーフォワードとも評されている。

 実績からしてダンカンが偉大な選手の1人であることに間違いはない。しかし一方で同じく2000年代前半にキャリアの全盛期を迎え、リーグを盛り上げていたコービー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)、アレン・アイバーソン(元フィラデルフィア・セブンティシクサーズほか)といった華々しいスーパースターたちと比べると、冷静で寡黙に自身の仕事に専念する姿が印象的だった。

 同じポジションであるケビン・ガーネット(元ミネソタ・ティンバーウルブズほか)も含めて、スーパースターという華のある選手たちは人一倍闘争心を持っており、時にはコート上でライバルたちと激しく口論を重ねるなどしていた。互いの競争力を最大限にまで引き出すために、彼らはトラッシュトークを好んでいたが、『The Ringer』に出演したダンカンは現役時代を振り返り、それは自分のスタイルではなかったと以下のように語っている。

「ただ単に、トラッシュトークは私のゲームの一部ではなかった。試合中に何かを達成しようとする時、その手法はより選手を苛立たせる。そしてほかの誰かが私に何を言おうと何をしようとも、私には効果的ではなかったし、対戦相手にトラッシュトークした以上に、それを吹っかけてきた本人たちが自分自身に影響を与えてしまっていた。だからこれが僕のやり方だったし、それが一番フィットしていたんだ」

 激しくしのぎを削りあうスーパースターたちがいたなかで、自らはトラッシュトークに参加せず、静かに己のスタイルを貫いたダンカン。相手に何を言われても動じず、自身の役割に徹して功績を残してきたその戦い方は、なぜ彼が偉大な選手になれたのかを象徴しているのかもしれない。