2021.04.05

アデトクンボ兄弟3人がそろって試合に出場、三男・ヤニス「NBA史上最高の瞬間」

アデトクンボ一家のヤニス(左)、コスタス(中央)、タナシス(右)が同時にNBAのコートへ立った[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)は、得点、アシスト、リバウンドのすべてでチーム最高のアベレージを記録し、今シーズンも優勝を狙うチームをけん引している。4月2日に発表されたMVPの行方を占う「Kia MVP Ladder」の最新版でも4位(前週は2位)につけており、このままプレーオフに向けてコンディションを高めていけば、ビル・ラッセル(元ボストン・セルティックスほか)やウィルト・チェンバレン(元フィラデルフィア・セブンティシクサーズほか)らに並び、3年連続のMVP受賞選手一覧に名を連ねることも不可能ではないだろう。

 一昨年と昨年はオールスターのキャプテンにも抜擢され、選手として全盛期を迎えているヤニスだが、同選手は先週、数ある名誉にも代え難い、最高の経験をした。

 ヤニスは、4月1日(現地時間3月31日)にステイプルズ・センターで開催されたロサンゼルス・レイカーズとバックスの一戦で、チームメートにして次男のタナシス・アデトクンボ(バックス)、そして対戦相手に所属する四男のコクタス・アデトクンボ(ロサンゼルス・レイカーズ)とともに兄弟揃って試合に出場したのだ。

 3選手がオンコートにいた時間は、最終クォーターのわずか52秒。それでもバックスの背番号34にとって、その約1分間は特別なひとときだったようだ。ヤニスは試合後、念願の兄弟対決を以下のように振り返っている。

「今日のあの瞬間は多分、僕がNBAでプレーした中でも最高のできごとだった。他にどのようなことを成し遂げても、こんな気持ちになることはないだろうね。試合を決めるブザービーター、40得点、50得点を記録しようと、そんなことはどうだっていいぐらいだよ」

「ともに育ち、同じベッドで寝て、僕たちは天井を見上げながら、NBAでプレーする姿を想像していたんだ。そして、それが実現して同じコートに立ち、僕たちの母が携帯電話でその一部始終を録画する。プライスレスだし、他の何にも代え難いものだと思わないか。僕たちがNBAで経験したなかで、最高の瞬間だったよ」

 一足先にヤニスがベンチに下がったあと、次男vs四男のマッチアップが実現。その瞬間、タナシスは弟のコクタス相手にサイドステップからのジャンパーをお見舞いしてみせた。試合後、ヤニスは2人のハイライトについて、このようにコメントしている。

「分からないな。タナシスはただただ冷酷な男だよ。弟相手にステップバックしたよね。『おいおい、タナシス。何で弟にそんなことができるんだよ?』って感じだった。僕もタイミングはあったけど、僕はやらなかったよ」

 兄弟3人そろってNBAのコートに立ったのは、ドリュー・ホリデー(ミルウォーキー・バックス)、ジャスティン・ホリデー、アーロン・ホリデー(ともにインディアナ・ペイサーズ)が、2019年に同時出場して以来の快挙だ。

 また、アデトクンボ一家は、末っ子のアレックス・アデトクンボ(CBムルシア)が現在、NBA入りを目指してスペインでキャリアを重ねているところ。コート上の10選手中4選手がアデトクンボという瞬間が訪れる日も、そう遠くはないかもしれない。

 文=Meiji

BASKETBALLKING VIDEO