2021.11.12

カルーソがレイカーズを離れた理由は契約内容…提示された年俸は◯億円以下?

今シーズンからブルズでプレーするアレックス・カルーソ[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 アレックス・カルーソは、新天地のシカゴ・ブルズでセンセーショナルなスタートを切った。ベンチから登場するや否や、ロスターとファンの士気を一気に高めるムードメーカーは、チームからキャリア最長の平均出場時間を与えられ、早くも信頼を勝ち取っている。

 その目を見張る活躍に水を差すかもしれないが、今オフに時を遡ると、誰しもがカルーソはロサンゼルス・レイカーズに残留すると思っていたはず。そして、その多くがレブロン・ジェームズとカルーソのレイカーショーを楽しみにしていたことだろう。しかし、蓋を開けてみたら、レイカーズのロスターにカルーソの名前はなかった。

 事実、レイカーズ傘下のGリーグ球団、サウスベイ・レイカーズで頭角を表し、2020年にはNBAチャンピオンに輝いたカルーソは、イエロー・パープルのジャージに深い愛着を抱いていた。それでも、ブルズ移籍を選んだ理由には、現実的な問題があったようだ。

 JJ・レディックのPodcast番組『Old Man and the Three』に出演したカルーソは、レイカーズが魅力的なオファーを提示してくれなかったことを明らかにした。

「レイカーズから電話をもらい、オファーを提示されたけど、それは僕が受け入れられるものではなかった。他球団からより高額なオファーを受け取れると思っていたからね。仕事のために戦う意思決定権のない男は、30チームからNBAで2〜3年プレーするに値しないと思われていたんです。だから、僕には(稼げるうちに)できるだけ多くを稼ぐ必要があった。これは現実生活の話で、自分のためにも、僕の大切な人のためにも、経済的な安定が必要だったんだ」

 スポーツ選手の選手生命は、短命だ。企業勤めのサラリーマンが40年超働くのに対し、バスケットボールのようなエネルギーを必要とするスポーツ選手の寿命は、15年前後が平均値だろう。とりわけ、NBAのような極めて競争率の激しい世界では、より短命なプレーヤーも少なくない。

 もし、レイカーズがカルーソに十分なオファーを提示していれば、カルーソはLAに残留していただろう。また、同選手によると、カルーソはブルズからのオファーを受け取った際にレイカーズにその旨を伝え、オファーシートにマッチするかを確認したという。しかし、レイカーズのフロント陣はそれを棄却したようだ。

「アルトゥラス・カルニショバス(ブルズの運営部代表)と、ビリー・ドノバン(ブルズのヘッドコーチ)と電話した際に、彼らがどのようにプレーしたくて、僕を選手としてどう見ているかを話したんだ。正鵠を得ていると感じたよ。僕の持ち味やチームの勝利に貢献できる方法、球団として目指す方向性など、彼らの発言すべてに同意できたし、僕が持っているものを必要とされていると思った」

「僕はオファーを受け取り、LAに戻って、同じオファーを提示してくれるか尋ねたところ、彼らはNOと言った。その後、もう少し減額してリクエストしたんだけど、それでも彼らからNOと言われた。だから、僕はそれを受け入れ、シカゴに行き、次の章を始める準備ができている旨を伝えたんだ」

 カルーソは、ブルズと3年保証の4年3700万ドル(約42億3000万円)で契約を結んだ。つまり、レイカーズのオファーは同金額を下回るものだったということだ。カルーソはPodcastの同エピソードにおいて、レイカーズの提示が2年1500万ドル(約17億1000万円)以下だったことを暴露。また、『CBS Sports』が引用した『ESPN』のラモーナ・シェルバーンの情報によると、レイカーズはカルーソに対して年俸700万ドル(約8億円)しか支払う意志がなかったという。

 レイカーズは、ゴールデンステイト・ウォリアーズやブルックリン・ネッツよりもサラリー合計が少なく、地元のテレビ収入だけで年間1億5000万ドル(約171億4000万円)もの収入がある球団だ。それでも、レイカーズはカルーソにブルズと同額を支払う価値はないと判断したようだ。

 その結果、レイカーズのディフェンシブレーティングは、昨シーズンのリーグ1位から13位にまで転落(11月12日現在)し、下馬評とは程遠い結果しか残せていない。一方、カルーソが所属するブルズは8勝3敗と絶好調で、イースタンカンファレンスでは2位につけている。カルーソのディフェンスでの貢献も言わずもがなで、スティールランキングではポール・ジョージマーカス・スマートらを押さえてリーグ1位に君臨している。

 両球団の明暗を分けたカルーソの契約。今頃、レイカーズのフロントは“The Bald Eagle”のハッスルプレーを恋しく思っていることだろう。

 文=Meiji

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